2012 Fiscal Year Annual Research Report
周期領域におけるMaxwell方程式の形状最適化問題の数値解法
Project/Area Number |
11J05176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新納 和樹 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Maxwell方程式 / 周期境界値問題 / 形状最適化 |
Research Abstract |
採用二年度となる本年度は、より汎用的な高速解法を開発するためにMullerの定式化に基づく周期問題の数値解法に関する研究を行った。 Mullerの定式化は境界積分方程式の定式化の一種であり、この定式化で得られる境界積分方程式は第二種Fredholm積分方程式となる。前年度に研究を行ったCalderonの前処理は、Calderonの式と呼ばれる積分作用素の関係式を用いて、方程式が良条件となるように前処理行列を構成する手法であったが、本年度に研究を行ったMullerの定式化による高速化は、方程式が良条件になるように積分方程式の定式化を行う方法であると言える。また前年度の方法では双対基底が必須であったため、双対基底に関するいくつかの問題を抱えていたが、本手法ではこれを解決するために、Nystrom法を用いて離散化を行った。Nystrom法は、数値計算で用いる積分公式の積分点を選点とする選点法の一種であり、選点上でのベクトル値そのものを未知数とするため、基底を用いる必要のない離散化手法である。Mullerの定式化とNystrom法による離散化を組み合わせた数値解法を実際に実装し、その有効性を確かめた。 また周期波動散乱問題特有の現象として、入射波の周波数や入射角といったパラメータがある特定の値を取るときに、解が特異的な挙動を示すことが知られている。この現象はWoodのanomalyと呼ばれる。一般にWoodのanomaly周辺において数値解の精度が悪化したり、反復法の反復回数が増加することが知られている。本年度の研究において、Mullerの定式化とNystrom法を組み合わせた解法を用いて、Woodのanomalyが現れる問題をいくつか解き、本手法ではWoodのanomaly周辺においても精度良く、少ない反復回数で解が得られることがわかった。
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Research Products
(8 results)