2012 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ乱流の大域的シミュレーションと乱流計測法に関する研究
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11J05218
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
西村 征也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 特別研究員PD
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Keywords | ヘリカルプラズマ / 大域的シミュレーション / 共鳴磁場摂動 / アルフベン固有モード |
Research Abstract |
本研究では、磁場閉じ込め核融合プラズマにおける多種の不安定性の混在する状態について理論解析および数値シミュレーションを行い、得られた結果を核融合科学研究所のヘリカルプラズマ実験装置Larg eHelical Device(LHD)における実験計測と直接比較することにより、複雑なプラズマ乱流現象の一端を解明することを目的とする。平成24年度は以下の2つの研究に取り組んだ。 (1)共鳴磁場摂動(RMP)印可時のプラズマの応答のシミュレーション RMP印可時のヘリカルプラズマの数値シミュレーションの結果、プラズマフロー粘性の強弱および磁力線曲率効果の有無に応じて磁気島が形成・消失する分岐現象が観測された。少数自由度モデルを用いた解析により、プラズマフローによる磁気島の強制回転および磁力線曲率によるテアリングモードの不安定化が、磁気島の分岐現象において重要であることが明らかになった。理論解析の結果とLHDにおける実験計測の直接比較を行うことにより、RMP印可によるヘリカルプラズマの閉じ込め特性の変化に対する基本的な理解が進展した。 (2)アルフベン固有モード(AE)が存在するときのプラズマ乱流のシミュレーション MEGAコードを用いて、ヘリカルプラズマにおける高エネルギーイオンとAEの非線形相互作用をシミュレーションした。AEは高エネルギーイオンによって線形成長し、AEによって形成される電磁場の谷に高エネルギーイオンが捕捉されることで、AEの成長が飽和することが確認された。また、AEの振幅と周波数を固定したテスト粒子計算によって、AEの振幅に対する高エネルギーイオン軌道の揺らぎ幅を評価した。この結果を、LHDにおいてAEのバーストが発生するときに観測される高エネルギーイオンの輸送と比較し、輸送の大きさが小半径の10%程度であるときのAEによる揺動磁場の強さはトロイダル磁場の10^<-4>から10^<-3>の間であることが算出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共鳴磁場摂動に関する研究については、数値シミュレーションおよび理論解析のまとまった成果が得られ、実験計測との直接比較の段階に進んだ。また、アルフベン固有モードに関する研究についても、研究技法の習得し、計画通りにアルフベン固有モードによる高エネルギーイオン軌道の揺らぎを調べ、国際会議で発表するとともに会議論文を執筆した。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
共鳴磁場摂動に関する研究については、引き続き実験計測との直接比較を進め、より精度の高いモデリングを目指して既存のシミュレーションコード群との結合を試みる。アルフベン固有モードに関する研究についてはまとまった成果が得られたため、高エネルギー粒子の軌道揺らぎに関する実験との定量的な比較を進める。さらに、最近、大型ヘリカル装置において高エネルギー粒子が駆動していると考えられる新しい不安定性が観測されている。この現象に関する理論研究は新規性、重要性、緊急性ともに非常に高いため、ヘリカルプラズマにおける粒子捕捉や波-粒子相互作用に関する理解を深めるための理論の構築を開始する。
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Research Products
(12 results)