2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J05439
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高梨 秀樹 名古屋大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / 花粉管 / 生殖 / 助細胞 |
Research Abstract |
イネ花粉管誘引物質を同定するためには,遺伝子発現情報をもとに候補遺伝子の選抜を行う必要がある.そこでまず,筆者らがこれまでに得たマイクロアレイによるイネ助細胞の遺伝子発現プロファイル(Ohnishi and Takanashi et al.2011)の結果から,助細胞で高発現し,かつ分泌性タンパク質をコードする複数の遺伝子を候補として選抜した.また,マイクロアレイチップ上に該当遺伝子のプローブが存在しない可能性も考慮し,並行して行っている次世代シーケンサーによるイネ助細胞のトランスクリプトーム解析の結果も用いて選抜作業を続けている. 選抜した候補遺伝子についてはノックアウト株が存在しなかったため,それが花粉管誘引物質をコードしているか否かを判別するためには遺伝子ノックダウンによる機能解析が必須である.本研究ではpANDAベクター(Miki et al.2005)を用いてRNAiによる遺伝子ノックダウン系統の作出を計画している.将来的にRNAiが機能している胚嚢をGus染色により判別する必要があること等を考慮し,後の実験をスムーズに行うため現在pANDAベクターの改変を行っている. 候補遺伝子のノックダウン系統において,花粉管誘引に影響が出ているかを検証するためには雌蕊内部での花粉管の動態を観察する必要がある.しかしながら,花粉管の可視化に一般的に用いられるアニリンブルー染色法では,含まれるNaOH処理によりイネ雌蕊の基部側が褐変してしまい,その奥深くに存在する胚嚢珠孔付近の花粉管が観察しづらいという問題があった。雌蕊基部が褐変しない種々の条件を模索した結果,NaOH処理の代わりに乳酸エタノール処理(120℃,20分オートクレープ)を用いることで雌蕊基部の褐変が顕著に抑制され,珠孔付近の花粉管動態が容易に観察できることを見出した.今後の解析には今回見出した新たなアニリンプルー染色法を用いる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補遺伝子の選抜も大詰めを迎え,ノックダウン系統の作出に関しても目途が立ったことにより,研究を次のステップへと進展させることができる.また,これまで困難であったイネ雌蕊内における花粉管の詳細な観察が可能になった点は今後の研究にとって非常に大きなメリットであるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム解析の結果をもとに最終的な候補物質の選抜を行う.またpANDAベクターの改良が終了し次第,速やかに候補物質のノックダウン系統作出を行う,作出したノックダウン系統に対して,本年度に開発した花粉管可視化法により候補遺伝子が花粉管誘引物質をコードしているか否かを判別する.また,並行して行っているイネin vitro重複受精系の確立を急ぎ,合成した候補物質に培地上でも花粉管誘引活性があるか否かを検証する予定である.
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