2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起伸展におけるカルシウム/Rhoシグナルのクロストーク
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11J05469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上條 諭志 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 突起伸展 / カルシウム / Rho-family GTPase / CaMキナーゼ |
Research Abstract |
神経細胞の突起伸展は神経細胞同士の機能的な結合を生むための不可欠なプロセスであり、そのメカニズムの解明は神経回路の構築原理の理解にとって非常に重要である。突起伸展の制御にはカルシウムおよび細胞骨格をコントロールするRho-familyGTPaseが関わっていることが示唆されており、当研究室による以前の知見として、カルシウムの下流ではCa甑と呼ばれるキナーゼ群が軸索、あるいは樹状突起といった部位特異的に、カルシウム上昇の情報を突起の制御に変換していることが示されていた。昨年度に得た知見を発展させ、平成24年度はこれらの二者をつなぐ発生期神経細胞でのカルシウム上昇に重点を置き、以下の目標を定めて研究を遂行した。(1)新規高親和性カルシウムプローブによる発生期神経細胞での新規カルシウム上昇パターンの計測、(2)カルシウム上昇の起源の同定、(3)新規解析法の樹立、の計三点につき報告する。 (1)新規プローブによる発生期神経細胞での新規カルシウム上昇パターンの計測 当研究室で開発された新規プローブを用いることで、発生期神経細胞において、今まで観察されていなかった全く新しいパターンのカルシウム上昇を発見した。スライスでも一部再現され、生理的な機能の存在が示唆された。 (2)カルシウム上昇の起源の同定 カルシウム上昇の起源を同定するために薬理実験を行い、ターゲット分子の候補を得た。また、カルシウム上昇パターンが外部の栄養因子により制御を受ける可能性を見出した。 (3)新規解析法の樹立 カルシウム上昇パターンを解析するためのプログラムおよび自発活動を解析するための統計手法を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発生期神経細胞に新規のカルシウムプローブを用いて計測することで、今まで知られていなかったパターンのカルシウム上昇が存在することを見出した。また、より生理的な条件下でも存在すること、およびその上流のターゲット候補分子の同定までできた。解析のための道具の開発も比較的順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
薬理学実験、および遺伝子導入実験を組み合わせてカルシウム上昇起源の同定を行う。また、このカルシウム上昇パターンが生理的にどのような意義を持つか、あるいは持たないかをin vivoのデータを追加して解析する。また、今回見出したカルシウム上昇がどのように下流のCaMKおよびRho-family GTPaseとカップルするかについても引き続き解析を行う。難点としてはin vivoでの観察系の構築に少し時間がかかることが挙げられるが、積極的に共同研究を打診し、データの取得を行う計画である。
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