2011 Fiscal Year Annual Research Report
不妊症の新しい病態メカニズム解明への挑戦―胎盤形成前子宮環境の重要性―
Project/Area Number |
11J05522
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 真弓 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 不妊症 / 脱落膜 / 子宮環境 / DEDD / 血管透過性 |
Research Abstract |
アポトーシス関連遺伝子として同定されたDEDD分子の欠損マウス(DEDD KO)が、メス不妊になる原因とその病態メカニズムを、分子レベルで解明することが本研究の目的である。不妊の原因の一つが脱落膜分化不全にあることは既に明らかにし、論文発表している。このため、第一に、脱落膜の分化や機能の制御をDEDDがどのようにおこなうかを追究し、第二に、子宮特異的なDEDD KOマウスを作出して、脱落膜細胞自身の持つDEDDが細胞内で分化に必須の役割を果たすかどうかを解析することとした。 平成23年度の研究計画では、まずin vitroの脱落膜分化系でDEDDの作用点としてAktやCyclin D3分子の遺伝子導入・ノックダウン実験を立ち上げ、分化効率と遺伝子導入効率について条件を検討した。次に、マウスを用いた生理学的解析では、DEDD発現部位とAkt、Cyclin D3遺伝子の発現部位を同定し、脱落膜領域を中心にその周囲に広がっていることを明らかにした。この部位は、着床前後に血管透過性が亢進することが知られているが、ホルモンの作用以外に脱落膜因子が作用すると考えられている。そこで、血管透過性を決定する血管内皮細胞の挙動にDEDDが関与するかどうかを調べることが最重要であると考え、血管内皮特異的にDEDDを発現するトランスジェニックマウスの作出を試みた。現在、コンストラクトを完成させ、マウスを作製中の段階にある。同時に、このコンストラクトを元に子宮特異的なDEDD KOマウスのコンストラクトも作製しつつあるが、いずれのマウスでもDEDDの脱落膜部位特異的な作用が判明するはずである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脱落膜細胞を用いたin vitroの実験が進行し、マウスを用いたin vivoでの解析は新たなトランスジェニックマウス作出に着手するなど計画以上に進んでいる。一方でヒト細胞を用いる解析は倫理委員会に申請中である。従って平均的には、やや順調以上の進展であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は新たに作出するトランスジェニックマウスを用いた解析を中心とし、DEDDの脱落膜における特異的な作用と分子メカニズムを解明する。このマウスを用いれば、さらにDEDDの新しい役割が発見できる可能性もある。
|
Research Products
(6 results)