2011 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系におけるD-セリンの時空間動態の可視化解析
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11J05563
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧川 健司 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | D-セリン / センサー / 可視化 |
Research Abstract |
D-セリンがいつ、どこから放出され、どのような時空間パターンを持って広がり、神経機能を制御しているのか、という情報を得るためには、D-セリンの動態を高い時空間解像度で可視化解析するための蛍光性D-セリンセンサーの開発が必要である。そこで、申請者が構築した蛍光性センサーのハイスループット作製系を応用して、蛍光性D-セリンセンサーの開発を目指した。ハイスループット作製を効果的に行うためには、大腸菌発現系においてリガンド認識タンパク質の発現量と精製純度を高くする必要がある。そこで、D-セリンセンサーのリガンド認識タンパク質として採用したNMDA型受容体のNR3Aサブユニットのグリシン結合ドメイン(NR3A-GlyBP)の発現および精製プロトコールの最適化を行った。その結果、発現量は培養液1L当たり6mg、精製純度は90%以上でNR3A-GlyBPを精製することが可能になった。また、NR3A-GlyBPと低分子蛍光色素との複合体からなる高性能なハイブリッド型センサーを開発するためには、NR3A-GlyBP上に標識する蛍光色素の位置を制御する必要がある。そこで、NR3A-GlyBPへのシステイン点変異導入と、チオール反応性低分子蛍光色素を用いることで蛍光色素の標識位置を制御できるか検証した。その結果、導入したシステインへの選択的な蛍光色素の標識が実現し、蛍光色素の標識位置の制御が可能になった。以上の成果によって、蛍光性D-セリンセンサーの開発にハイスループット作製系の応用が可能になった。現在、ハイスループット作製系を用いてD-セリンセンサー候補の作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光性D-セリンセンサーの開発にハイスループット作製系の応用を可能にしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者が構築した蛍光性センサーのハイスループット作製系を用いて、D-セリンセンサーを開発し、グリア細胞・神経細胞から放出されるD-セリンの可視化技術を構築する。また、海馬スライス標本でのD-セリン動態を高精細に可視化することでD-セリンの放出部位を特定できるようにする。
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