2012 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系におけるD-セリンの時空間動態の可視化解析
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11J05563
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧川 健司 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | D-セリン / センサー / 可視化 |
Research Abstract |
本研究では、D-セリンのシナプス近傍での時空間パターンが神経機能を特徴づける重要な因子であるとの視点に立ち、脳内D-セリンの動態を高い時空間解像度で可視化解析を実現する蛍光性D-セリンセンサーを開発し、D-セリンイメージング技術の確立を目指す。当該年度においては、蛍光性D-セリンセンサーの候補となる蛍光複合体を網羅的に作製し、D-セリンにより蛍光強度が大きく変化する蛍光複合体を探索した。蛍光性D-セリンセンサーのリガンド認識タンパク質としては、生理的な受容体のひとつであるNMDA型受容体のNR3Aサブユニットのグリシン結合ドメインを採用した。D-セリンを結合するグリシン結合ドメインにシステイン点変異を導入したリコンビナント蛋白質を大腸菌発現系にて取得し、チオール基と特異的に反応する低分子蛍光色素を結合させ蛍光複合体を作製した。蛍光複合体を効率的に作製するために昨年度に最適化したハイスループット作製系のプロトコールに従って、88種類のシステインの点変異体と、明るく褐色に強い3種類のチオール反応性低分子蛍光色素との組み合せからなる264種類の蛍光複合体を作製した。高精細・高感度なイメージングを実現する上で蛍光変化の大きい蛍光性センサーが望ましいため、D-セリン投与によって惹起される蛍光強度変化を指標にスクリーニングを行った。その結果、D-セリンにより蛍光強度が変化するものを複数種類得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
D-セリンにより蛍光強度が変化する複数種類の蛍光複合体を取得したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に取得した複数種類の蛍光複合体からイメージングに最適なものを選抜し、グリア細胞・神経細胞から放出されるD-セリンの可視化技術を構築する。また、海馬スライス標本でのD-セリン動態を高精細に可視化することでD-セリンの放出部位を特定できるようにする。
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Research Products
(2 results)