2012 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起顕微鏡を用いた発達期大脳皮質シナプスリモデリングの直接観察
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11J05614
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一色 真明 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | in vivo imaging / シナプス / 自閉症 / 2光子励起顕微鏡 / スパイン / 生後発達 / 大脳皮質 / シナプス後肥厚部 |
Research Abstract |
昨年度までに二光子励起顕微鏡を用いて、発達期のマウス大脳皮質における興奮性シナプスの動態を観察する実験系を立ち上げた。その観察から生後発達初期では成熟期と比べシナプスの形成と消失が活発に生じていることを示した。本年度は、その観察系を用いて自閉症モデルマウスの発達期におけるシナプス動態を観察した。自閉症モデルマウスの発達期大脳皮質では野生型マウスと比較して興奮性シナプス動態が亢進していることが示された。本年度中にこれらのデータをまとめ、論文投稿したが、残念ながら掲載には至らなかった。投稿時に、自閉症モデルマウスでシナプス動態が亢進するに至った分子メカニズムを示すべきとの指摘があり、本年度の後半ではその分子レベルでの異常を調べることとした。特に次の2点から分子メカニズムの解明に挑んでいる。(1)大脳皮質に含まれるシナプスに関連する分子を生化学的に検出し、その発現量などから自閉症の異常を検討する。(2)これまでに自閉症モデルマウスで症状改善の報告のあった薬物を投与し、シナプス動態の変化を観察する。そこで、その薬剤の薬理作用より自閉症マウスにおけるシナプス動態異常のメカニズムを検討する。この2点について、現在までにまとまった結果はまだ得られていないが、データの蓄積は進んでおり、来年度には結果をまとめ、新たな論文として投稿する予定である。 また、本年度は上記の興奮性シナプスだけではなく、抑制性シナプスについての発達期のマウス大脳皮質における動態を観察した。これまでの先行研究から自閉症では興奮性シナプスと抑制性シナプスのバランスに異常が生じていると指摘されている。こちらも、現在までに明確な結果は得られていないが、データの蓄積は進んでおり、来年度に成果として発表できるよう努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、発達障害の1種である自閉症モデルマウスについても発達期大脳皮質におけるシナプス動態を計測した。その計測から、正常発達におけるシナプスの動態と自閉症モデルマウスのシナプス動態を比較することができた。論文投稿し、結果的に論文の受理には至らなかったが、順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
論文がRejectされた際に、「より分子基盤に基づく解析、あるいはマウスの行動との関連性を示す必要がある」とコメントされた。そこで、(1)自閉症モデルマウスにおける分子レベルでの異常と、(2)行動レベルでの異常とのシナプスレベルでの異常の関係、の2点について特に解析を行っていく。
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Research Products
(1 results)