2013 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起顕微鏡を用いた発達期大脳皮質シナプスリモデリングの直接観察
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11J05614
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一色 真明 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | in vivo imaging / シナプス / 自閉症 / 2光子励起顕微鏡 / スパイン / 生後発達 / 大脳皮質 / シナプス後肥厚部 |
Research Abstract |
昨年度までに二光子励起顕微鏡を用いて、発達期のマウス大脳皮質における興奮性シナプスの動態を観察する実験系を立ち上げ、その観察系を用いて自閉症モデルマウスの発達期における興奮性シナプス動態を観察した。自閉症モデルマウスの発達期大脳皮質では野生型マウスと比較して興奮性シナプス動態が亢進していることが示された。本年度は更に抑制性シナプスの指標となる分子のgephyrinの観察も行った。大脳皮質の錐体細胞樹状突起上に見られるスパインと呼ばれる突起構造は興奮性シナプス後部の形態的指標となるが、一部のスパインは抑制性シナプスも同時に含むものもある。抑制性シナプスを含むスパインは視床からの興奮性の投射を受け、抑制性シナプスを含まないスパインは皮質内の興奮性の投射を受けている事が既に報告されている。そこで本年度の研究では、gephyrinを指標とすることで、スパインを視床からの入力を受けるものと皮質間の入力を受けるものに分類して解析を行った。その結果、生後3週のマウスでは、視床から入力を受けるスパインは非常に安定であり、皮質間の入力を受けるスパインは非常に動的であった。また、自閉症モデルマウスでみられるスパイン動態の亢進は、皮質間の入力を受けるスパインに特異的であった。こうした結果から、自閉症では皮質内の神経回路形成に異常が生じていることが示唆された。 更に、本年度はマウス大脳皮質の神経活動を変化させた際の野生型と自閉症モデルマウスでの応答についても検討した。マウスのヒゲからの入力は体性感覚野のバレル領域に伝達される。ヒゲを抜くなどの処理を行うことで、皮質内の神経活動を変化させることができる。野生型マウスではバレル野の神経活動を上昇させたときにスパイン動態が亢進するが、モデルマウスでは動態に変化が見られなかった。また、モデルマウスでは神経細胞が活性化した際に見られる特定の遺伝子の発現が野生型より生じにくくなっていることも示された。こうした結果からも自閉症モデルマウスでは神経細胞間の回路に異常が生じ、適切な情報伝達が損なわれていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)