2011 Fiscal Year Annual Research Report
触運動の相互作用性を再現可能な温度計測の実現による触感伝達の研究
Project/Area Number |
11J05919
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 克成 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 触覚 / 温度感覚 / 光学式触覚センサ / 温度感覚ディスプレイ |
Research Abstract |
本研究では、接触に伴い生じる相互作用を再現可能な温度センサを開発することで、温度感覚を含んだ触感情報の伝達システムの実現を目指す。初年度の成果は主に2つある。1つ目は、光学式の温度センサの実現である。2つ目は、高い時間応答性を持つ温度ディスプレイの実現である。 光学式の温度センサは、表面に示温塗料を塗布した弾性体とカメラから構成される。示温塗料とは温度によって色の変化する素材であり、この色相変化をカメラで抽出することで、弾性体表面の温度分布を推定できる。弾性体の形状や柔軟性、温度を人の皮膚と同等にすることが可能であり、接触に伴い生じる皮膚の変形や熱伝導などの相互作用を再現できる。そのため、計測された情報を人に提示した場合は、あたかもその人が直接物体に触れたように感じられる。本年度は、光学式温度センサの有効性を検証し、力分布情報と温度を同時に計測できる指型の触感センサを実現した。また、この手法を応用したスマートフォン用インタフェースの実装にも取り組んだ。 温度感覚を含んだ触感伝達の実現には、計測された温度情報を再現するディスプレイが必要となる。そこで本年度は、高い時間応答性を有する温度ディスプレイの開発に取り組んだ。構築した温度ディスプレイは、人の温度知覚特性に基づき、温刺激用のペルチェ素子と冷刺激用のペルチェ素子を市松模様のように交互に配置したものである。それぞれのペルチェ素子の温度を独立に制御することで、急激な温度変化を錯覚的に素早く知覚させられる。定量的な実験に加え、国際会議などにおける技術展示を通して、その有効性を検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は、触運動の相互作用性を再現可能な温度センサのプロトタイプ構築を目標とした。結果として、光学式温度センサを実現し、さらにインタフェースへの応用という発展的な課題に取り組めた。さらに、最終的な目標となる触感伝達に必要となる温度ディスプレイを実現できた。以上より、本研究課題は計画以上に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
温度感覚を含めた触感情報伝達を実現するために、初年度に開発した温度情報の計測・提示技術を応用し、力分布や振動、温度情報を当時に扱うセンサやディスプレイの開発に取り組む。同時に、人の温度知覚特性の研究を行うことで、温度センサやディスプレイの設計要件を明らかにする。
|