2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J05967
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高橋 一誠 名古屋市立大学, 大学院・芸術工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自動車運転 / 眠気 / 生体信号 / 心拍呼吸位相同期 / 心拍変動 / バイオフィードバック / 振動刺激 / 覚醒維持 |
Research Abstract |
本研究は、運転者の心拍や呼吸等の生体リズムを用いた刺激により、覚醒度低下検出時に運転者を最適な運転水準へ誘導するシステムの基礎体系を構築することを目的とする。 本年度は、覚醒水準維持を可能にする刺激の開発にあたり、心拍リズムを持つ振動刺激効果と運転者心拍に同期した振動刺激効果を検討する2つの実験を行った。 1.心拍リズムを持つ刺激を付与することによって、運転者の心拍リズムがその刺激のリズムに同期し得るのかをどうかを、1秒間隔の一定リズムの刺激との比較によって検証した。結果、心拍リズムを持つ振動刺激を付与すると被験者心拍が刺激リズムに同期していく現象が認められた。これは、振動を用いて運転者の心拍変動をコントロールすることが可能になることを示唆している。これにより、心拍リズムを変調させることによって眠気を緩和させる可能性が見出された。 2.2つ目の実験では、被験者から測定した心電図のR波検出時に、リアルタイムでシート座面より振動を付与した際の被験者の生体反応を調査した。ドライビングシミュレータを用いて40名の被験者を低覚醒状態に誘導し、覚醒状態を特徴付けるパラメータを心電図、呼吸曲線、脈波から抽出した。そして、5名の被験者の協力の下、そのパラメータを用いた重回帰モデルにより心拍リズムを持つ振動刺激の覚醒効果の評価を行った。その結果、被験者心拍に同期した刺激には、心拍と呼吸の動きを眠気に抗する状態と近い状態に誘導する効果があることがわかった。これにより、極度な眠気を感じる状態に至る前にこの刺激を付与することによって、早い段階で眠気に抗する状態を得ることができ、自動車運転の危険を伴う覚醒状態の低下を防止することが可能になることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
覚醒水準維持を可能にする刺激の開発を目的に行った実験の結果を応用することで、覚醒度向上刺激の付与を理論に基づき、戦略的に行なうことが可能となったため、当初の計画通り順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
覚醒度低下時に観察される脳への酸素供給量低下を緩和する刺激の効果的なリズムパターン、強さ、付与位置の特定を行う。また、その刺激の付与タイミングを制御するモデルの開発も平行して行っていく。このモデルの開発には運転時において無拘束で心拍と呼吸を計測するセンサの特性を考慮したパラメータ及び閾値設定が必要であるため、実際にセンサを製作し、実車に搭載して検討する実験も予定している。
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Research Products
(3 results)