2012 Fiscal Year Annual Research Report
生活関連化学物質の下水処理による除去高度化と適正管理に関する研究
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11J06016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成宮 正倫 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013-03-31
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Keywords | 下水処理 / 生活関連化学物質 / 医薬品類 / 活性汚泥 / サロゲート / LC-MS/MS / 日内変動 / 除去 |
Research Abstract |
本年度は、まず、下水処理場での医薬品類の挙動に関する前年度の研究成果をまとめ、国際学術誌に投稿した。現在、査読修正中である。次に、本研究で分析対象とする医薬品類を重水素や13Cでラベル化したサロゲートを導入し、液体クロマトグラフータンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用いた、より簡便で再現性の高い分析方法を確立し、その成果を国際学術誌に投稿するために、論文としてまとめた。 下水処理場での医薬品類の挙動モデルを構築するうえで、下水処理場へのインプットである流入下水に注目し、そこでの医薬品類の濃度・負荷量変動を把握しておく必要があった。また、下水処理場に流入した水塊は、下水処理場内で滞留した後に放流されるため、濃度変動のある流入下水と処理水を同時に採水して医薬品類の除去率を計算しても、除去率を適切に評価しているとは言えない。そこで、下水処理場において、流入下水と下水処理水を1時間おきに24時間採水し、医薬品類の日内濃度変動を把握した。その結果、流入下水において、検出された医薬品類の多くは、人々の活動時間である日中に濃度が上昇し、夜間は濃度が低下することが確認された。24時間内での流入下水中濃度の最大値と最小値との比を計算するといずれの物質も2を超え、日内濃度変動が無視できないことが明らかとなった。また、日中に流入下水と処理水を同時に採水し、医薬品類の除去率を算出すると、除去率を過大評価する恐れがあることが示唆された。これらの結果は、今後、下水処理場での医薬品類の挙動をより適切に評価するうえで、重要な知見であると考えられ、国内学会において口頭発表を行った。 日本だけでなく海外での下水処理場での医薬品類の除去性を調べるため、中国シンセンの下水処理場でサンプリングを行い、医薬品類の濃度を測定した。また、昨年度韓国ソウル市の下水処理場で行った同様の調査について、国際学会においてポスター発表を行った。
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