2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代ULSIに向けた希土類高誘電率ゲート絶縁膜/伸張歪ゲルマニウム構造の構築
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11J06058
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 公彦 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 歪ゲルマニウム / 高誘電率ゲート絶縁膜 / プラセオジム酸化膜 / ゲートスタック / 界面準位密度 / プラズマプロセス / 酸化・還元性 / 価数 |
Research Abstract |
次世代の高速動作金属-絶縁膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の実現に向け、金属/希土類系高誘電率(high-k)ゲート絶縁膜/歪ゲルマニウム(Ge)ゲートスタック構造が着目されている。本研究においては、high-k絶縁膜/Ge界面構造制御、および、熱プロセスに伴う歪Geの歪緩和抑制の両立に向け、低温プラズマプロセスを用いた界面構造制御技術の構築を行った。また、複数の価数を有する希土類系金属であるプラセオジム(Pr)の価数制御に向け、金属電極の酸化・還元性がPr酸化膜およびPr酸化膜/Ge界面の化学結合状態に与える影響を明らかにした。 Al2O3/Ge構造に対する酸素プラズマ照射により、Al2O3/Ge界面に酸素が直接供給され、界面準位密度の低減が達成された。酸素プラズマによる界面への酸素供給はプロセス温度50℃においても可能であり、低温における界面構造制御技術として有望であることが明らかとなった。さらに、Al2O3/Ge構造に対する窒素プラズマ照射においては、照射された窒素原子とAl2O3膜中の酸素原子との置換による、界面への二次的な酸素供給が可能であることを見出し、界面への酸素供給量のより精密な制御が可能となった。 還元性を有するAlやW金属膜をPr酸化膜/Ge上に形成した場合、Pr酸化膜中のPrは還元され、4価から3価へと減少した。この時、Prの価数の減少に伴い六方晶Pr2O3が形成され、高誘電率Pr酸化膜の実現が示唆された。また、Al膜を形成した試料においては、Pr酸化膜/Ge界面におけるGe酸化物界面層の還元も確認された。よって、酸化膜中の酸素濃度の制御および酸化膜/Ge界面反応の制御においては、酸化・還元性に基づいた金属種の選択が重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究においては、プラズマを用いたhigh-k絶縁膜/Ge界面構造制御技術を確立しており、これは、低温プロセスが求められる希土類系高誘電率ゲート絶縁膜/歪ゲルマニウム構造構築において、非常に重要な知見である。また、金属の酸化・還元性がPr酸化膜/Ge構造の化学結合状態に与える影響の解明は、良好な電気的特性を有するゲートスタック構造における材料選択において大きな進展である。同時に、Pr酸化膜中の酸素濃度制御技術の一つとして非常に有用である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、本年度の研究において得られた材料選択における知見を元に、高誘電率な結晶構造を有するPr酸化膜の形成をGe基板上において行う。その際、Pr酸化膜中の酸素濃度の制御は、Pr酸化膜の結晶構造の制御と同時に、界面反応抑制および界面構造制御においても非常に重要である。一方、低温ラジカルプロセスによる絶縁膜/歪Ge界面特性の向上を実証し、良好な電気的特性を有する金属/希土類系high-kゲート絶縁膜/歪Geゲートスタック構造の実現を目指す。
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Research Products
(12 results)