2013 Fiscal Year Annual Research Report
津波石ハマサンゴを応用した複合的アプローチによる古災害および古環境の高精度復元
Project/Area Number |
11J06232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒岡 大輔 東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 津波 / 津波石 / サンゴ / 琉球列島 / 放射性炭素年代 / 明和津波 / 小氷期 / 海水温 |
Research Abstract |
本年は主に、①前年度までに採取された津波石ハマサンゴ試料の年代測定結果解析と論文執筆、②現在までの研究を発展させ、より高度な分析手法であるリチウム同位体比の分析伎術習得・および立ち上げを行い、地球表層環境試料中のリチウム同位体分析を行った。 ①昨年度までに100個以上の試料について14C年代測定を行っており、本年はこれらの大量の年代測定結果を統計学的に解析することで、この地域で初めて津波再来周期の推定を行った。その結果、本地域で初めて津波の再来周期を見積もることができた。本報告は、南琉球列島での防災計画の策定や津波の将来予測に有用なものである。また、本研究は津波石から過去の津波再来周期を見積もった初めての結果であり、ボーリング等による砂状の津波堆積物の採取が困難な地域でも、津波石試料を選択的に採取し多くの年代測定結果を統計的に解析することで、過去の津波発生時期を推定できることが明らかにした。上記の結果は、国際誌Geologyに掲載され、東京大学広報からプレスリリースを行った。朝日新聞や日本経済新聞、科学雑誌Newtonなど、複数の紙面や雑誌で本内容について紹介いただいた。 ②本研究は放射性同位体を用いた地球化学的研究であったが、さらに研究を発展させ、リチウムの同位体を使った環境解析にも取り組んだ。リチウムは近年資源としても注目されている元素であるが、このリチウムの同位体を用いて、リチウム資源の濃集場であるプラヤ(塩湖)の湖性堆積物試料の分析を通じて、プラヤにおけるリチウム鉱床の成因解明に取り組んだ。湖性堆積物試料のリチウム同位体比は、一般的な河川水などの地表水や海水の値と比較して低い値が得られ、この結果は火山性の熱水による高温の流体-地殻反応によって溶出したものであることを示している。本結果は、国際誌Mineralium Depositaに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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