2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J06280
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石原 誠一郎 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞生物学 / メカノセンス / NF-kB / 炎症反応 |
Research Abstract |
細胞は基質の硬さを感知し、それに応答して表現型を変化させることが知られている(メカノセンス)。しかし、メカノセンスの詳細なメカニズムはわかっていない。メカノセンスにおいて細胞骨格や細胞接着にかかわる分子が重要な働きをしていることは、これまでの研究で明らかになっている。しかし、これまでに基質の硬さと転写因子の関与についてはほとんど報告されていない。そこで、本研究では炎症反応に深く関与する転写因子NF-kBに着目し、基質の硬さがNF-kBに与える影響を調べた。今年度は、硬さの異なる基質上での細胞培養系および実験系を確立した。さらに、それを用いてNF-kBの発現量を解析し、細胞内局在を観察した。今年度は、硬い基質としてコラーゲンをコートしたプラスチックまたはガラスを用いた。また、軟らかい基質としてゲル化したコラーゲンを用いた。実験の結果、(1)NF-kBのmRNAレベルの発現量は、硬い基質と軟らかい基質でほぼ変化しないこと(2)NF-kBのタンパク質レベルの発現量は軟らかい基質では常に一定であるが、硬い基質では細胞を撒いた直後に一度発現が下がり、その後上昇して一定になること(3)細胞を基質に撒いた直後に、硬い基質ではNF-kBが核内に移行することが明らかになった。これらの事実は、基質の硬さが転写因子NF-kBの発現および活性化を変化させ、それにより細胞の炎症反応を制御していることを示唆する重要な結果である。本成果は、1回の国際会議と4回の国内学会・研究会で発表された。今後はNF-kBを制御する因子を同定し、成果を論文にまとめる予定である。(674字)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、現在のところおおむね順調に進んでいる。本研究ではNF-kBのタンパク質レベルの発現量を定量化するために、硬い基質上と軟らかい基質上で培養した細胞におけるWestern Blotting実験を行った。この実験において、硬い基質と軟らかい基質上から同質のタンパク質を抽出できる実験系を世界で初めて確立することに成功した。また、免疫蛍光染色法を用いることにより、細胞内におけるNF-kBの局在の違いも観察することができた。今後はNF-kBの阻害実験および活性化実験を行うことにより、基質の硬さがNF-kBの発現および活性に与える影響を証明することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、今後NF-kBの阻害実験および活性化実験を行う予定である。阻害実験では、NF-kBのドミナントネガティブタンパク質やNF-kBの阻害剤を用いる予定である。また活性化実験では、NF-kBを活性化させる液性因子として知られているTNFaなどを用いる予定である。また、本研究においてNF-kBの転写活性はまだ検証していない。そのため、今後は転写因子の活性を直接検出できるルシフェラーゼアッセイなどを用いて、NF-kBの転写活性を検出する。さらに、硬さだけを厳密に制御できる基質であるアクリルアミドゲル培養基質を現在作製中である。今後はアクリルアミドゲル培養基質上で細胞を培養し、硬さだけの違いによりNF-kBの振る舞いが変化することを証明する予定である。
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Research Products
(5 results)