2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模回路/電磁界混合モードシミュレーション技術に関する研究
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11J06372
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
關根 惟敏 静岡大学, 創造科学技術大学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高速回路解析 / 高速電磁界解析 / 混合モードシミュレーション / 蛙跳び法 / 大規模線形回路網 / 非線形回路 / 三次元積層型集積回路設計 |
Research Abstract |
1.具体的内容:高速回路解析手法のLIM(Latency Insertion Method)と電磁界解析手法のFDTD(Finite-Difference Time-Domain)法では、蛙跳び法という共通の過渡解析アルゴリズムを採用しています。この共通したアルゴリズムが混合シミュレーションの要になると考え、蛙跳び法の改良と混合シミュレーションへの応用方法の検討を行いました。まず、蛙跳び法の欠点である厳しい数値安定条件を緩和させた反復型の蛙跳び法を提案し、時間領域有限要素法へ適用することで電磁界解析の高速化を行いました。また、強結合回路網を高速に解析できるブロック型蛙跳び法と、未知変数の数を大幅に減らすことができる次数縮小手法を組み合わせ、非線形素子と結合した大規模線形回路網を高速解析する手法を提案しました。そして、PEEC(Partial Element Equivalent Circuit)法によって導出した等価回路網を、遅延を含めた蛙跳び法を用いて解析することで、電磁界解析と同等の結果を得ることができる手法について提案しました。以上の研究成果として、3件の国際会議と1件の国内研究会で口頭発表を行いました。 2.意義:研究目的である高速な回路・電磁界シミュレーションを独自手法によって実現しているため、意義のある研究となっています。また、国内外で広く発表し、ディスカッションを行うことで、関連する知識を深めることができました。 3.重要性:回路と電磁界の両分野においてシミュレーションの高速化を行ったことは、大規模問題を扱う次世代回路設計に大きなインパクトを与えることができます。また、PEEC法と蛙跳び法に基づく手法は、電磁界解析と等価な解析を回路解析によって行えることを示した点が独創的であり、混合シミュレーションを実現するための重要な基礎理論となっています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、回路解析と電磁界解析をそれぞれ高速化できており、混合シミュレーションに必要なアルゴリズムの検討や提案も行えています。また、それらの研究成果を国際会議や国内研究会で発表しており、今後、論文誌へ投稿できる見通しもあるため、計画通りに進展していると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎となる手法の検討は完了している一方で、実際に回路解析と電磁界解析を混合するためには、より具体的に混合の手順を整理することが必要です。そのため、研究実施計画に記したように、複数の物理現象を同時に扱うマルチフィジクス・シミュレーションにおける混合方法を参考にし、本研究に取り入れます。また、本研究が実践的問題に適用可能であることを示すため、研究成果を実用的な混合シミュレータとして集約し、近年急速に必要性の高まっている三次元積層型集積回路のシミュレーションへ応用します。
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