2013 Fiscal Year Annual Research Report
接触言語ジュバ・アラビア語のドキュメンテーション:その多様性の見地から
Project/Area Number |
11J06924
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仲尾 周一郎 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 南スーダン / ジュバ / ジュバ・アラビア語 / 記述言語学 / ピジン・クレオール / 言語接触 / 社会言語学 / ドキュメンテーション |
Research Abstract |
平成25年度は、2013年9月~10月に南スーダン共和国・ジュバに渡航し、現地調査を遂行した。この調査では、引き続きジュバ・アラビア語の文法調査・ドキュメンテーションを行った。 まず、現地調査に際しては、ジュバ・マラキア地区に古くから在住する都市民を対象に加えたことで、これまでに得られていなかった古風な特徴を残すジュバ・アラビア語変種を発見するに至った。また、彼らの語りに注目することで、ジュバが建設され、南スーダンの首都へと発展していく社会史的背景の一部が明らかにし、論文としてまとめた。 次に、研究発表に関しては、現地のジュバ大学において研究発表を行い、上で述べた現地調査の成果の一部を速やかに公表することで、研究者らと意見交換を行った。また、昨年度までに収集した文献資料や、本年度の現地調査をもとに、国際アラビア語方言学会(Association Internationale de Dialectologie Arabe)にて、ヨーロッパ人植民地行政官らの言語行為がジュバ・アラビア語の発生に影響を与えた可能性について発表し、反響を得た。さらに、本年度までに行ってきたドキュメンテーションの結果得られたデータをもとに、民話などの「語りの談話」に頻出する継起等を表す言語形式と、その文法化の過程を論文にまとめた。 以上に加え、昨年度までの研究成果をもとに、ジュバ・アラビア語中層話体(Mesolect)の文法体系について発表した。また、ジュバ・アラビア語を含むアフリカで話されるピジン・クレオール諸語に関して、日本アフリカ学会編『アフリカ学事典』(近刊)に記事を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、言語学的アプローチにのみ特化していたが、平成24年度以来社会史的視点を取り入れた。この結果、まずジュバ・アラビア語が発生・変化していった動態がより明らかになり、さらに本研究課題が言語学の分野を超えて興味深い事例を提供することにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(7 results)