2012 Fiscal Year Annual Research Report
サブナノ秒パルスによる非熱平衡プラズマの形成とその医療応用
Project/Area Number |
11J06997
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 一平 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマ医療 / プラズマ-生体相互作用 / ガン治療 / マウス線維芽細胞 / アポトーシスの誘導 / 極短パルス高電圧 / 非熱的低温プラズマ / 大気圧放電 |
Research Abstract |
本研究の目的:既存の熱プラズマでは治療対象に熱的損傷を与えてしまうのに対し、極短時間のパルス放電プラズマを用いることで広範な生体に対しプラズマ医療の効果を実現すること。これに加えてプラズマと生体間の相互作用を解明することである。 上記の目的に対する研究計画:1年目は極短パルス放電による非熱平衡プラズマの形成、2年目は非熱平衡プラズマの照射によるラジカル生成機構とその生体作用の解明、3年目はプラズマパラメータによる生体効果の最適化を掲げている。本年は2年目であり、左記のプラズマ照射時のOHラジカルの計測を終え、動物細胞への生体作用(アポトーシス)の誘導と原因要素の検討を行うことで、2年目の計画は概ね達成された。 具体的成果:初年度の成果である『非熱平衡プラズマ』を寒天培地に照射した際に、表面温度の上昇は1.7度に抑制され、数度の温度上昇も許されない生体治療に対して本研究の非熱平衡プラズマが適用可能であることを定量的に示した。次に、動物細胞に『非熱平衡プラズマ』を照射することで、癌治療などに有益と考えられるアポトーシス細胞死の誘導を確認し、その原因が短寿命の化学的活性種およびイオンによって導かれることを特定した。加えてアポトーシス細胞死の発生割合が周囲のガスやパルス電圧波形に依存することを明らかにした。そして、プラズマ中で最も反応性が高く、上記細胞死の一因と考えられるOHラジカルについて2次元密度分布を計測した。このOHラジカル計測により、ラジカル密度が雰囲気ガス種やパルス電圧波形に依存することを特定した。これはこれまで理解不能だったプラズマー生体間の相互作用、つまり『プラズマ中の何が生体に作用しているか』を解明するための大きな一歩である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は研究計画として『非熱平衡プラズマの照射によるラジカル生成機構とその生体作用の解明』を掲げている。本年は2年目であり左記計画に示す2年目計画を概ね達成するとともに、動物細胞へのプラズマ照射実験を多分に行った結果、癌治療に有用だと考えられるアポトーシス細胞死の誘導要因について十分な考察を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、プラズマ中に含まれる『どの化学的活性種(ラジカル)が生体作用(アポトーシス細胞死)をもたらすのか』、特にアポトーシスと呼ばれる細胞死を誘導する因子を特定したいと考えている。この因子を特定することで、ガン治療や低侵襲治療に対して従来法と異なる技術の提案が可能となる。 具体的には、共同研究先の東京都市大学と連携してマウス線維芽細胞(NIH3T3)に対して、本研究で開発した非熱平衡プラズマを照射した際のアポトーシス作用を検証する。さらに、プラズマ中の活性種をレーザー誘起蛍光(LIF)法により定量計測した結果と比較対応することで、上記目的を達成したいと考える。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] ナノ秒パルス放電による成体反応2012
Author(s)
八木一平, 安田拓真, 小野亮, 小田哲治, 筒井千尋, 平田孝道, 高木浩
Organizer
電気学会プラズマ・パルスパワー合同研究会
Place of Presentation
岩手大学, 盛岡市、 岩手県
Year and Date
2012-08-10
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