2012 Fiscal Year Annual Research Report
スペースシンタックスを用いた現代都市の空間構造分析と街並み景観イメージとの関係性
Project/Area Number |
11J07004
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高野 裕作 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スペースシンタックス / 都市景観 / 都市解析 / GIS / 空間構造分析 / 街路パターン |
Research Abstract |
(1)今年度の研究内容 本研究課題の目的は、都市空間の形成過程・要因の異なる地域ごとの景観特性の差異を、空間構造を定量的に解析することによって明らかにする手法を確立することである。これは空間形成要因、都市形態要素、景観特性の3要素の関係性より論じることとなる。 2011年度は上記の都市形態要素の分析として主にスペースシンタックス理論を用いた街路パターンとその形成要因としての「開度」を用いた地形の分析を行い、地形が街路パターンの形成に及ぼす影響について一定の知見を得たが、それぞれの都市・地区が形成される個別の要因との関係、さらには景観を特徴づける土地利用との関係については触れられなかった。そのため2012年度は形成要因として都市計画事業に注目した分析、および都市景観の実態を表す土地利用現況データを用いた分析の二つを主に行った。 (1)都市計画事業に注目した分析 本研究対象地である東京都心部のような大都市はあらゆる地区で時期・規模の異なる様々な都市計画事業が展開されて現在の都市の骨格を特徴づけている。特に戦災復興区画整理事業が行われた地区に着目して、詳細なスペースシンタックスの分析、土地建物の現況に関する分析を行った。 (2)土地利用現況データを用いた分析 東京都心部の土地利用用途の実態を建物・土地の単位で詳細かつ広域的に把握するため、東京都都市整備局より「東京都土地利用現況調査GISデータ」を取得した。メッシュ単位、町丁目単位の集計や用途別延べ床面積の分布などを基礎的な分析をしたうえで、既にスペースシンタックス理論によって分析された街路パターンのデータとGIS上で重ね合せ、土地利用に街路パターンの構造が与える影響などを分析した。 (2)成果の総括 これらの分析は現状で試行段階のものが多く十分な結果が出ていないため、外部発表には至っていない。2013年度以降にこれらの分析を洗練させ、成果の発表を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は外部発表に至る成果を出すことが出来ず、本研究課題の当初の目的は十分に達せられなかったが、土地利用現況データを中心としたGISの分析や、解析手法の検討は既往研究のレビューと実作業を通じて着実に実施している。現在はそうした空間構造分析の結果と実際の都市空間体験との関係性を論じるための理論的な組み立てをしている段階である。今後これらの結果を統合して本研究課題の目的が達せられることを期待する。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間の研究を通して、東京都心を中心とした範囲に対して街路パターン、土地利用、地形それぞれの広域かつ詳細な分析を実施し、有用なデータを得ることができ、GISによる解析も様々な手法を試行し見通しを持つことが出来た。本研究課題の目的を達するには、これら相互の関係性を定量的に把握するだけでなく、データから導かれた関係性や地区ごとの特性が、現実に体験される都市の景観特性としていかなる意味があるかを明らかにしなければならない。2012年度はこれらの分析が試行段階であり外部発表に至る成果を出せなかったが、次年度以降にこれら分析の成果を取りまとめ、発表する方針である。
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