2012 Fiscal Year Annual Research Report
偏微分方程式の解に対する精度保証付き数値計算法の発展
Project/Area Number |
11J07191
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高安 亮紀 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 精度保証付き数値計算 / 固有値問題 / 半線形楕円型方程式 / 反応拡散方程式 / 数値的検証法 |
Research Abstract |
線形化微分作用素に対する逆作用素のノルム評価法: 線形化微分作用素の可逆性の証明は偏微分方程式の精度保証付き数値計算において重要な役割を占めている.本研究では自己共役な線形化作用素に対して,楕円型作用素の実固有値を用いて可逆性が検証できる事を示した.そしてLaplacianに対する精度保証付き固有値評価をもとにした固有値評価を導出し,計算された固有値を利用するノルム評価方法を確立した.提案手法は先行研究に比べ検証が成功しやすく,よりタイトな評価を可能にする事が特徴である.さらに,これまでの任意多角形領域上における計算機援用証明法の技巧を用いることで,任意多角形領域に対応することができ,より実用的な逆作用素のノルム評価方法を提案することができた. 提案手法の反応拡散系数理モデルへの適応: 任意多角形領域上における計算機援用証明方法の応用例として,2つの未知関数(u,v)に関する反応拡散系の非線形連立偏微分方程式を考える.反応拡散方程式は主に化学,生物学,物理学などに表れる現象を記述した方程式である.本研究ではFitzHugh-Nagumo方程式と呼ばれる神経繊維上の電位の伝播モデルを考え,反応拡散方程式の定常解を任意多角形領域上で計算機援用解析できるようにした.これは昨年度提案したHyper-circle equationとNewton-Kantorovichの定理を基礎とする精度保証付き数値計算手法の自然な拡張である.適応にあたり,先行研究では成されていなかった作用素項が含まれる固有値問題に対する精度保証付き評価を提案するなど,既存の理論の応用だけではない新たな手法の発展が適用を可能にした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の逆作用素ノルム評価法は線形化作用素のスペクトル評価がもとであり,先行研究より有用な評価である.これと前年度の精度保証付き数値計算法を合わせる事で,反応拡散系の連立偏微分方程式に適用できた事は当初の計画にはなかった成果である.本成果により任意多角形領域上における手法の確立は完成したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題による成果によって,有限要素法を用いた任意多角形領域における偏微分方程式の精度保証付き数値計算法はほぼ完成した.関連の研究課題について,今後は主に以下の2つの方針で研究を行う.(1)精度保証付き数値計算法を利用してパラメーターによって決定される偏微分方程式の解の構造を計算機援用証明する.(2)非線形放物型偏微分方程式の精度保証付き数値計算による解の存在証明へのアプローチ.(1)は陰関数の定理と解曲線の数値的連続追跡法の技巧を合わせて,数学問題の計算機を用いた証明を試みる.(2)について解析半群の有理関数近似を用いた全離散近似解の事前誤差評価を提案し,放物型問題への精度保証付き数値計算法を確立する.
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Research Products
(20 results)