2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞選択的にアポトーシスを誘導するTRAIL様自己集積型デスリガンドの創製
Project/Area Number |
11J07547
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
久松 洋介 東京理科大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自己集積化 / TRAIL / デスリガンド / イリジウム錯体 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
デスリガンドの一種であるTRAILとデスレセプターを介するシグナル伝達は、がん細胞選択的にアポトーシスを誘導するため、副作用の少ない抗がん剤開発のための標的経路として注目されている。本研究は、生体内に存在する亜鉛イオンもしくは鉄イオンを用いて、Zn^<2+>(bpy)_3もしくは、Fe^<2+>(bpy)_3錯生成に基づくC_3-対称性の自己集積型TRAIL様人工デスリガンドの創製を目的として取り組んだ。 採用1年目である本年度、C_3-対称性構造を有する自己集積型TRAIL様人工デスリガンドを開発するための配位子の選定を行い、1,10-フェナントロリン配位子に対してデスレセプターとの相互作用部位であるPatchA、PatchBペプチドを導入したリガンドの合成を行った。今後、合成した人工デスリガンドの精製およびTRAIL様活性評価と課題は残っているものの、一定の進展はあったと判断する。さらに、C_3-対称性構造に固定化されたトリスシクロメタレート型イリジウム錯体に関して、種々の誘導体化を行い、特徴的な発光特性を有する新規イリジウム錯体を見出した。この知見に基づき、イリジウム錯体にPatchAペプチドを導入したリガンドを合成し、現在、TRAIL感受性細胞を用いた活性評価に取り組んでいる。 ドイツでの半年間の留学では、人工トランスフェクション試薬および4点型双生イオン部位を導入した自己集積型分子の創製研究に取り組んだ。特に後者では、高極性溶媒中で外的な刺激に応答可能な超分子ポリマーの生成に関して有用な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用1年目において、1,10-フェナントロリン配位子を母核とする人工デスリガンドの合成においては精製条件の検討を要するものの、イリジウム錯体にPatchAを導入した人工デスリガンドの合成を達成し、TRAIL様活性評価を現在実施しており、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
合成の最終段階である脱保護条件や精製条件を精査することで、設計したすべての自己集積型デスリガンドおよびイリジウム錯体を母核とするデスリガンドの合成を達成する。得られたリガンドに対して、TRAIL、感受性細胞に対するMTTアッセイによりTRAIL様活性評価を行うと同時に蛍光顕微鏡を用いた細胞イメージングなどへの展開を行う予定である。
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Research Products
(6 results)