2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造材料のマルチマテリアル化を可能にする異種金属のナノ反応型液相接合の研究
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11J07818
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木庭 正貴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鋼 / マグネシウム / 接合 / TLP |
Research Abstract |
これまでの検討で、鉄とマグネシウムのような従来難接合であると考えられてきた異種金属間の接合に対して、私が考案した新しい接合プロセス(以後R-TLP接合プロセス;反応型液相拡散接合プロセス)を適用し、金属接合界面に液相を介してナノレベルの反応層を形成することによって強固な接合を達成可能であることを示した。しかし、このR-TLP接合プロセスで得られる界面におけるその形成メカニズムや界面強度支配因子などについて更なる検討が必要である。さらに,構造体として使用するためには鉄鋼材料との複合化が求められるため、大面積での接合への適用や、得られた鋼/Mg合金材料の複層材の特性についても検討する必要がある。 本年度の研究では、R-TLP接合における反応相の形成メカニズムについてより詳細な検討を行うために、十分な量のMg液相に鋼板を浸すことによって試料を作製するHot-Dippingを使用した。この検討から、反応相形成の初期段階では、液相内でFe2Al5単層の反応相が界面を被覆するように核生成・成長していき、途中から初期反応相とIF鋼界面からIF鋼方向に微細な反応相が核生成・成長していくという成長の遷移が存在することが明らかとなった。また、反応相形成の初期段階と後期段階で反応相成長速度が変化すること、そして液相中のAl濃度によって、成長速度及び成長速度の遷移時間が異なることが示唆された。 一方で、これまでに開発してきたR-TLP接合による実用的な材料の作製を目的として、鋼・Mg合金の中でも強度と加工性に優れるSUS304及びAZ31を用意した。鋼表面にインサート材としてAg1μmを蒸着し、Mg合金を鋼板で挟んだ後、500QCまで昇温・1000s保持することによって鋼複/Mg合金層材を作製した。複層材から引張試験片を作製し、その物理的特性を評価したところ、非常に高い比強度と40%を超えるMg合金の変形を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本接合法の最も重要な部分である反応相形成メカニズムの支配因子の解明とその定量的な評価を現在行っている。また、実績概要でも報告したように鋼とマグネシウム合金の大面積接合による複層材料の作製にもすでに着手しており、非常に高い比強度とマグネシウム合金の大変形を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている反応相形成の定量的な評価を基に、サーモカルク等の熱力学シミュレーションを行うことによって反応相形成のメカニズムを明らかにし、反応相形成モデルの作製を試みる。また鋼/マグネシウム合金の複層材料についても、その変形機構や破壊挙動を理解することによって、最適な材料設計とプロセスの最適化を目指す。
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Research Products
(5 results)