2012 Fiscal Year Annual Research Report
構造材料のマルチマテリアル化を可能にする異種金属のナノ反応型液相接合の研究
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11J07818
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木庭 正貴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鋼 / マグネシウム / 接合 / TLP |
Research Abstract |
これまでの検討で、鉄とマグネシウムのような従来難接合であると考えられてきた異種金属間の接合に対して、私が考案した新しい接合プロセス(以後R-TLP接合プロセス;反応型液相拡散接合プロセスとする)を適川し、金属接合界面に液相を介してナノレベルの反応層を形成することによって強固な接合を達成可能であることを示した。しかし、このR-TLP接合プロセスで得られる界面におけるその形成メカニズムや界面強度支配因子などについて翼なる検討が必要である.まず、保持時間に伴う反応相の形成や成長、相選択といったものに影響を与える因子について十分な検討がされておらず、厳密な反応相の制御には至っていない。 そこで今年度は「反応相の形成メカニズム」についてより詳細な検討を行うために、前年度と同様のHot-Dippingを使用し、液相中のAl濃度だけでなく温度や添加第三元素といった因子が形成する化合物相に与える影響を検討すると共に、化合物形成初期における形成過程に注目することで、化合物の核生成に必要な条件や核生成頻度に与える因子を明らかにすることを目的とした。結果、Al濃度だけでなく温度の上昇によっても成長速度が増大するが、高温域ではFe2Al5に代わってFeAlが安定化すること、またFe2Al5の形成には前駆相としてFeAlの存在が必要であり、遷移する際にFe2Al5とFeAlの間には特異な方位関係が存在することが明らかになった。さらに、共晶溶液に第三元素としてMnを添加することでFeAlの形成が安定化することがわかり、微最の添加であってもFe2Al5前駆相の形成が促され、結果としてFe2Al5の界面均一性が助長されることも明らかになった。今回発見した第三元素の添加によって、より低温、短時間でのR-TLP接合プロセスを可能にできると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究の根幹である金属間化合物の成長速度及び核生成といったKineticsに焦点を置き、研究を行ってきた。これにより、液相中のAl活量による成長形態の変化や微量添加合金元素による化合物形成の促進(核生成頻度の増加)効果が明らかになった。また上記の諸条件をコントロールすることで反応速度を抑制し、従来研究で議論できなかった反応初期における化合物の核生成頻度の定量的な評価も可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた知見が熱力学的に正しいことをThermo Calc等のシミュレーションを使って確認すると共に、EPMAによる組成分析と合わせて固液界面における元素存在状況を再現することで化合物形成のPhase map作成を行う。また、第三元素の添加やAl濃度をコントロールすることによって、より低温かつ短時間でのR-TLP接合の可能性を模索し、より実用化を視野に入れた材料設計を考える。
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Research Products
(3 results)