2011 Fiscal Year Annual Research Report
授業/授業外にわたる大学生の学習ダイナミズムについての研究
Project/Area Number |
11J07850
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
河井 亨 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高等教育 / 大学生学習論 / 学習ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究は、日本の大学生がどのように授業外での活動/学習と授業での学習の間の関係を組織化しているかを検討し、学生の学習の実態とより深い学習の可能性を明らかにすることを目的とするものである。 (1)学生の学習ダイナミクスについての概念枠組みの形成に向けた理論研究 第一に、学習についての考察のための基礎にあたる自己やアイデンティティ形成についての理論研究を行った(現代社会学理論研究5号)。第二に、サービス・ラーニング、プロジェクト・ベースド・ラーニング、コーオプ教育といった経験学習型教育実践の基礎にあるアクション・ラーニングという考え方を検討した研究(名古屋高等教育研究12号)と、教育実践と調査研究との関係を考える基礎を探求した研究(京都大学大学院教育学研究科紀要58号)を進めた。 (2)学生の学習ダイナミクスを解明するための調査研究 まず、『WAVOC調査2009』から、複数の異なる活動を移行・往還しながらそれぞれの学習を架橋・統合していくラーニング・ブリッジングという学習ダイナミクスを見出した(高等教育ジャーナル19号,教育方法学研究37号)。そして、学習研究の流れに位置づけてラーニング・ブリッジングの概念を提起し、『WAVOC調査2010』を通じて、単に授業外学習を行うだけでなく、その学習を授業での学習とラーニング・ブリッジしている学生が知識・技能の習得や将来展望の形成に結びつけていることを明らかにした(日本教育工学会論文誌35巻4号)。最後に、このラーニング・ブリッジングの役割を全国調査『大学生のキャリア意識調査』において一般的に明らかにした(大学教育学会誌33巻2号・34巻1号)。こうしたラーニング・ブリッジングを中心とする調査研究と平行して、リフレクションに着目したサービス・ラーニング研究を進めた(福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要16号,ボランティア学研究12号)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で設定された目的のもと取り組んできた調査の分析を完了し、その調査を研究論文に取りまとめる作業が順調に進行した。研究業績の概要で記述したとおり、本研究課題にとって中心的な研究はもちろんのこと、周辺的でありながらさらなる研究の発展に欠かせない研究もまた進めることができたと評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進にあたって、中心に据えられるべき課題は、これまでの研究論文および現在進行中の研究成果を課程博士学位論文へと結実させることである。それと同時に、大学生の「授業/授業外にわたる学習ダイナミクス」の解明という本研究課題をどのような方向に発展していくことができるかを探索するような調査および文献研究を進めていく必要がある。現在、以下の三つの方向性を想定している。(1)学習行動尺度・学習アプローチ尺度との関係についての調査・研究(2)学習・リフレクションを促す教育方法についての研究(3)学習とキャリア形成との関連についての研究
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Research Products
(20 results)