2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規徐放性ナノゲルを用いた線維芽細胞増殖因子による骨再生法の開発と分子機構の解明
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11J08114
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小林 真左子 徳島大学, 大学院・口腔科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | FGF18 / CHPOAナノゲル / 骨修復 / BMP2 |
Research Abstract |
Fibroblast Growth Factor(FGF)18が個体発生過程において軟骨芽細胞や骨芽細胞の分化を促進し、骨格形成をコントロールするという生物学的機能、また、骨組織の発生過程でFGF18と協同的に働くBMPファミリーに注目し、BMP2依存的な骨修復現象に対するFGF18の生物学的作用について検討した。FGF18、BMP2を局所に効果的に作用させる方法として、京都大学大学院、秋吉一成教授により開発されたドラッグデリバリーに有用な新規ナノゲル(CHPOAナノゲル)を利用した。4週齢C57BL/6マウス頭頂骨欠損モデルを作製後、PBS、FGF18、BMP2、FGF18+BMP2を含むナノゲル架橋ゲルを欠損部位に適用し、マイクロCTによって非侵襲的に骨修復の経時的な観察を行ない、これら4群を比較検討した。その結果、FGF18単独群はPBS群に比べ骨修復能の有意な促進はなかった。BMP2単独群では有意に骨修復が促進されたものの、修復能の個体間バリエーションが大きかったのに対し、FGF18+BMP2併用群では個体間バリエーションが減少し、全体として有意に骨修復効果および効率の改善がみられた。また、術後8週後に行なった組織学的評価では、FGF18+BMP2併用群で、骨梁様構造、骨髄様構造を伴う顕著に厚い新生骨が観察され、FGF18はBMP2と協同的に骨修復促進に働くことに加え、支持組織としての骨組織構造を再構築する可能性が示唆された。このようなFGF18の新しい機能は、単純に幼弱な骨組織の増加のみにとどまらない形態的、機能的に有用な骨修復を誘導する機能タンパクとして重要な役割を果たすことが期待される。今後は、詳細な分子機構の解明を目標として研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ナノゲルシステムを応用することにより、FGF18がBMP2依存的な骨修復能の有意に改善することを示すことができた。よって、おおむね順調に研究成果が得られたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウス頭蓋冠欠損モデルでみられたFGF18のBMP2依存的な骨修復における協同的な作用機序を明らかにするため、各種細胞増殖マーカー、骨関連マーカー、各種シグナル因子の発現量、パターンを分析し、詳細な分子機構を解明する予定である。
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