2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規徐放性ナノゲルを用いた線維芽細胞増殖因子による骨再生法の開発と分子機構の解明
Project/Area Number |
11J08114
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小林 真左子 徳島大学, 口腔科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | FGF18 / CHPOAナノゲル / 骨再生 / BMP2 |
Research Abstract |
Fibroblast Growth Factor (FGF)18は、個体発生において骨や軟骨の細胞分化を促進し、骨の形態形成を制御する。FGF18が骨再生促進因子として応用可能かどうか検討するために、京都大学大学院、秋吉一成教授より提供された新規ナノゲル(CHPOAナノゲル)にFGF18とBMP2を含有させ作製したハイドロゲルを頭蓋冠骨欠損マウスモデルに適用し、マイクロCTにて経時的に骨欠損部の骨再生を観察した。その結果、FGF18をBMP2と併用すると、BMP2単独に比べ、骨再生が増強されることを明らかになった。また、骨欠損作製時にアリザリンレッドで、8週後屠殺前にカルマインにて骨をラベリングし、・組織学的に検討すると、FGF18をBMP2に併用した場合に厚い新生骨形成が観察された。 さらに、FGF18の骨再生促進に関連する分子を検索するため、免疫組織学的に、骨芽細胞の局在と血管新生、細胞増殖との関連性について検討を行ったところ、BMP2単独に比べ、FGF18を併用すると、新生骨の近傍にPECAM-1陽性の血管内皮細胞とPCNA陽性の骨芽細胞が散見され、FGF18が血管新生を誘導し、新生骨形成に関与する骨芽細胞の増殖を促進している可能性が示唆された。 本研究を通じ、FGF18とBMP2を持続的に局所に作用させるドラッグデリバリーシステム、また骨再生のスキャフォールドとして、新規徐放性ナノゲル(CHPOAナノゲル)は有用であることが明らかとなった。今後、本研究をさらに発展させることで、将来的にヒトの骨欠損症例に対する骨再建治療の選択肢として応用できる可能性が示された。
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