2011 Fiscal Year Annual Research Report
入会林野の現代的変容とその要因―所有形態と入会集団に着目して
Project/Area Number |
11J08127
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山下 詠子 東京農工大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 入会林野 / 入会集団 / 入会権 / 入会慣習 / 林政学 |
Research Abstract |
・森林所有の小規模分散性を特徴とする日本の森林において、入会林野は数少ないまとまった面積の森林である。地域一体の森林整備に向けて、利用と管理の共同性という特質を持つ入会林野の管理は、今後の森林管理問題を考える上で注目すべき存在といえよう。いま入会林野は、林野への関心の薄れや開発圧力を背景とする大きな変化の渦中にある。入会林野において重要な意味を持つ入会権の内容は、法社会学で「生ける法」と呼ばれるように、入会集団の行動や規範によって揺れ動くものであり、古くて新しい問題であり続けてきた。しかし、近年その実態はほとんど明らかにされていない。 ・本研究は、変容(1):混住化地域における入会集団の動態、変容(2):林野の所有形態が入会集団の構成原理に及ぼす影響、変容の要因解明:入会集団の構成原理を決定づける要因、を把握することで、入会林野の現代的変容とその要因を明らかにすることを目的とする。 ・入会林野研究は様々な研究分野からの蓄積があるため、初年度である本年度はまず村落社会学、法社会学、コモンズ論、林政学、環境社会学、地理学、の各研究分野における先行研究のレビューを行った。各分野の課題設定と研究手法について整理を行い、入会林野の変容研究の方法論を検討した。 ・また、北海道下川町において森林資源の活用による地域づくりについて、また滋賀県大津市、同栗東市において生産森林組合による森林管理についての現地調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の6ヶ月間において主に文献調査・現地調査を行い、論文執筆にも取り組んできた。ただし、出産・育児の中断直後であり、研究への完全復帰とはいかなかったため、当初の計画全てが達成できたとはいえない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き育児と研究の両立が課題となるが、次年度以降は軌道に乗り、研究のスピードも上がると思われる。次年度は論文執筆と発表に力点を置いて進める予定である。
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