2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア3地域の建築生産システムに着目した国産材輸出可能性に関する研究
Project/Area Number |
11J08484
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
権藤 智之 芝浦工業大学, 工学部, 特別研究員PD
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Keywords | 国産材 / 住宅生産 / 韓国 / 輸出 |
Research Abstract |
本研究では、東アジア地域に向けた日本の国産材輸出の可能性を検討する基礎的な資料を供するため、対象を木造住宅生産に絞り、現在の東アジア地域の木造住宅生産の実態および、日本から東アジア地域への国産材輸出の実態を明らかにすることを目的とする。 本年度は、資料調査、有識者インタビューに加えて、国内、海外でのインタビュー調査を行なった。 資料調査、有識者インタビューでは、既往研究、統計資料を収集、整理するとともに、有識者インタビューから国内・海外調査対象の選定について助言をもらった。 日本国内のインタビューでは国産材輸出主体に加え、遠隔地移送、付加価値化という点で国産材輸出と関連の深い産直住宅主体に対するインタビューを行ない、国産材輸出の課題や付加価値化の方策についてまとめた。特に国産材輸出主体に対するインタビューでは、大工や補助部品不足等の課題に加え、それに対する構法の改良など、輸出主体毎の取り組みを明らかにした。 海外では、国内調査を元に、継続的な国産材輸出が見られる韓国に対象地域を絞り、2回の調査を行なった。対象は中央官庁、政府系研究機関、地方公共団体、業界団体、施工業者、プレカット工場、木造建築教育機関など12主体である。韓国では1990年代以降、2×4構法住宅生産が行なわれ始めたが、2000年代後半以降は、プレカット加工を用いた軸組構法住宅生産が行なわれ始めた。今回の調査では、国家も韓屋センター設立や韓グリーン政策によって木造工業化を推進していること等、マクロな変化に加えて、2005年以降にプレカット工場が加工を始め、木造建築教育機関では軸組構法の大工養成が始まるなどミクロな変化も同時に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集および国内調査はほぼ計画通り進展した。海外調査では、韓国で興味深い事例が見られたため、先行して韓国の木造住宅生産に関わる実務者インタビューを行ない十分な成果を得た一方、韓国以外の地域への海外調査は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国での軸組構法工業化の動きは先行研究でも指摘されていないことや規模の大きさから注目すべき事象である。来年度以降は韓国の木造住宅生産システム調査を中心に据えつつ、中国、台湾といった他地域での調査も並行して進めたい。
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