2012 Fiscal Year Annual Research Report
迅速な進化を考慮したメタ個体群動態の理論・実験的研究
Project/Area Number |
11J08508
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
笠田 実 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 個体群動態 / 進化 / メタ群集 / ケモスタット |
Research Abstract |
平成24年度上半期は平成23年度に行ったケモスタットを用いた捕食者被食者系における生態と進化のフィードバック実験の結果について、コーネル大学で行われたケモスタットミーティング、滋賀で行われたASLO国際学会で発表した。そこでの議論をもとに、さらなる追加実験を実施した。その結果、平成23年度に明らかにした進化と個体群動態の複雑なフィードバック相互作用に関して、新たな理論的な枠組みを示唆する実験結果が得られた。下半期では、実験結果を踏まえて共同研究者とともに新たな理論的解析を行い、進化的なトレードオフの相対値だけでなく、絶対値がフィードバック相互作用のパターンを決定することを明らかにした。理論的解析と実験結果の解釈に関しては研究が現在進行中であり、今後更なる発展が期待できる。 また、平成24年度は上記の実験の他に、表現型可塑性と進化のタイムスケールに関する理論的な研究も並行して実施した。従来は、変動環境における変動のタイムスケールはあまり注目されてこなかったが、今回のモデル研究によって、表現型可塑性を持つ生物と進化する生物の変動環境における優位性が、タイムスケールの違いによって大きく異なることを明らかにした。現在のモデル研究における仮定は、変動環境が予測可能であるなど一部限定的な解析であるので、今後さらに解析を進める必要があるが、従来知られていなかったタイムスケールと可塑的生物の優位性の関係を基礎的なモデルを用いて明示したという点で重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度中に論文を執筆する予定であったが、国際会議での発表等の議論から追加実験を実施する必要があり、研究成果を論文として報告するところまではいかなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は実験研究に関しては得られたデータを解析し、論文として報告することを中心に行っていく。実験研究でのデータは概ね得られたので、今後は理論研究を中心に遂行する予定である。具体的には、平成24年度中に行った理論モデルの解析を行う。また、今回解析したモデルはメタ群集構造の入っていない、局所的な状況を仮定しているので、今後はさらに、holisticなアプローチを用いて、メタ群集も考慮に入れながら理論モデルに関する分析を進めていく。
|
Research Products
(3 results)