2011 Fiscal Year Annual Research Report
高精度磁場測定で探る太陽光球~遷移層の磁気プラズマ活動
Project/Area Number |
11J08580
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
石川 遼子 国立天文台, ひので科学プロジェクト, 特別研究員PD
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Keywords | 偏光観測 / 太陽磁場 / 太陽物理学 / 磁気流体現象 / 天文 / 輝線スペクトル / 分光 / 彩層 |
Research Abstract |
申請者は、観測ロケットを用いて太陽から放射されるライマンα輝線(121.6nm)での高精度(~0.1%)高波長分解能の偏光分光観測を行う、日・米・西・仏・ノルウェーによる国際共同プロジェクトChromospheric Lyman-Alpha Spectro-Polarimter(CLASP)に携わっている。ライマンα線は真空紫外線波長域で最も明るい輝線で、偏光分光観測を行うことによって太陽の彩層上部~遷移層の磁場情報を得ることができる。今年度は偏光分光器や望遠鏡など全ての光学系の基本設計が終了し、詳細設計フェーズに突入した。申請者は、偏光分光観測装置の担当として、(1)回折格子仕様の詳細検討と製造メーカとの調整、(2)偏光分光器のアライメント計画の立案、(3)偏光解析装置のエンジニアリングモデルを用いた偏光測定誤差要因の検証実験、(4)CLASPで懸念となる偏光測定誤差要因の洗い出しと達成される偏光測定精度の検討、(5)国内メーカと共同で開発したライマンα用ホログラフィック球面回折格子の性能評価実験、(6)開発中のライマンα用フィルターの性能評価実験、を行なってきた。上述の(3)、(5)、(6)については、岡崎市にある放射光施設(UVSOR)にて実験を行った。本年度、申請者はCLASPのプロジェクトサイエンティストに就任した。CLASPでは、これまでほとんど用いられてこなかったハンレ効果で磁場の検出を行う。その理論的背景について学ぶとともに、ハンレ効果に関する日本国内向けの研究会を立ち上げた。 また、CLASPに加え、「ひので」可視光望遠鏡のデータを用いて、太陽表面(光球)微細磁場の時間的・空間的分布と太陽表面の対流構造との比較検討も行なった。本研究によって、太陽表面磁場の生成と組織化の仕組みについての示唆が得られつつある。今後、結果をまとめて論文に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、申請者はCLASP光学系の詳細検討や性能向上に向けた検討や実験などを行ってきた。これを元に来年度は光学系の設計を終了し、製造フェーズに突入する。装置開発に加え、CLASPで目指すサイエンスに関する検討や「ひので」のデータ解析も行ってきており、おおむね順調に研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これからCLASPでは詳細設計が終了し、製造フェーズに突入する。それに向けたメーカとの交渉、アメリカとのインターフェースのやり取り、放射光施設での実験など積極的に行なっていく予定である。また、夏には日・米・西・仏・ノルウェーの共同研究者を集めて、CLASPで目指すサイエンスに関して議論する研究会を主催する予定である。観測装置だけでなく、CLASPで目指すサイエンスについてもより魅力的なものにしていきたいと考えている。また、「ひので」のデータ解析も本年度以上に積極的に行なっていく。
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Research Products
(8 results)