2011 Fiscal Year Annual Research Report
家庭環境に関する認識が糖尿病患者のセルフケアおよび精神的健康に及ぼす影響
Project/Area Number |
11J08705
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
東海林 渉 東北大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 糖尿病 / 食事療法 / ソーシャルサポート / 家族システム / 家族看護 / 家庭環境 / 成人患者 |
Research Abstract |
本研究の目的は、糖尿病患者がセルフケアを実行するための家族環境をどのように認識しているか評価するためのツールを作成し、そのパターンを類型化することによって、家庭環境に関する認識のパターンとセルフケアや精神的健康に関するアウトカムとの関連を検討することであった。 本年度は、認識のパターンを類型化し、横断的調査により各種アウトカムとの関連を検討することを実施計画とした。 研究成果の具体的内容: 本年度は既存のツールを用いた調査データをもとに「患者本人のセルフケアへの取り組み」と「家族のサポート」の2軸で認識パターンの類型化を行い、セルフケアに関するアウトカムとの検討を行った。その結果、患者に認識される家庭環境は、「団結」「遊離」「纏綿」「無関心」の4パターン(「纏綿」には「熱心型」と「不活発型」の亜型が含まれる)に分類された。これは先行研究と一致し、本研究の仮説を支持するものであった。また、「無関心」<「纏綿-不活発型」<「纏綿-熱心型」<「遊離」<「団結」の順番で血糖コントロールが良好であることが明らかとなった。 本年度の研究の意義および重要性: 本研究では、患者が認識している家庭環境について特徴のあるパターンを見出すことができた。本研究でいくつかのパターンに類型化できたことは、今後、糖尿病患者の家庭環境に関する研究を進めていく上で基礎的な資料になると期待される。また、パターンごとに血糖コントロールの良否が異なるという本研究の結果は、糖尿病臨床に携わる専門家に対して、家族要因を軽視すべきでない明らかな科学的根拠を提示するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であった「パターンの類型化」と「セルフケアに関するアウトカムとの関連の検討」については研究を遂行できた。「類型化を臨床場面で簡便に行うためのツールの開発」と「精神的健康に関するアウトカムとの関連の検討」については次年度の課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、「類型化を臨床場面で簡便に行うためのツールの開発」と「精神的健康に関するアウトカムとの関連の検討」を行う予定である。ただし、本年度の結果から家族のサポート状況の影響力の大きさが示され、患者だけでなく家族への調査の必要性も示唆されたため、今後の調査においては家族も調査対象者に含めて実施することとする。
|
Research Products
(1 results)