2012 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体型ATP合成酵素の活性制御を分子レベルで理解する
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11J09051
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
砂村 栄一郎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ATP合成酵素 / シアノバクテリア / 活性調節 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、葉緑体型ATP合成酵素の活性制御機構を解明するために、シアノバクテリアATP合成酵素を用いて、X線結晶構造解析を行った。昨年度に最適化した条件で結晶を作製し、放射光施設で回折実験を行ったが、分解能の向上は見られなかった。そこで、結晶から水分子を取り除くことで分解能を向上させる脱水操作を試みた。しかし、今のところ、分解能の向上は見られない。また、αサブユニットのN末端にある余分なアミノ配列を切断することで、分解能が向上するのではないかと考え、余分な配列を数残基ずつ切断した変異体を作製した。この変異体の精製及び結晶化を行った。しかし、切断前と同じ結晶化条件では結晶が作製できなかった。酵素の熱安定性が大きく変化したためと考えられる。現在、熱安定性を大きく変化させずに分解能の向上させる変異体を作製中である。 また、この酵素を構成するγサブユニットにあるN末端およびC末端のαヘリックスのコイルドコイル構造が活性制御に重要な役割を果たしているのではないかと考え、αヘリックスに人為的に固定する実験を、昨年度に引き続き行った。具体的には、αヘリックスにCysを導入し、S-S華僑をするで、コイルドコイルの相対的位置を固定した。作製した変異体の中には、酵素活性が大きく上昇する変異体があった。また、阻害サブユニットであるεに対する挙動にも変化があった。S-S華僑をする前は、100%近い阻害率であったが、華僑をすることで、40%近くまで阻害率が減少する変異体が得られた。N末端およびC末端のαヘリックス間の相対的な位置関係が、活性の制御に重要な役割を果たすことを示唆する結果が得られた。さらに、この結果から、シアノバクテリアに加えて、高等植物のATP合成酵素の活性制御のメカニズムを推測することができた。
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Research Products
(4 results)