2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本絵画における風景の空間的考察―屏風絵の役割と機能―
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11J09160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井戸 美里 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 屏風 / 日本美術 / 風景画 |
Research Abstract |
現在研究を行っているハーバード大学を拠点として、美術史研究のプロジェクトに参加するなかで風景画についての研究を行ってきた。木大学において受け入れを依頼しているProf. Melissa McCormickとともに積極的に研究交流を行いながら、ボストン美術館を始め、サックラー美術館、シカゴ美術館、ニューヨークのディーラーなどで中世末から近世初期にかけての絵画作品の調査を行った。本年度は、特に『曽我物語』『平家物語』などの軍記物や『源氏物語』など王朝文学を絵画化した作品である物語絵画を中心に、文学作品や芸能作品が屏風絵作品として絵画化されることの意味を探るなかでそうした屏風絵の享受された場について考察を行ってきたが、その成果は2012年度中に発表する予定である。 4月に個人発表を行ったアジア学研究の学会であるAssociation for Asian Studiesにおいては、日本絵画や和歌に頻繁に描写される「洲浜」の風景の機能について考察を行った。この成果についても2012年度中に英文でまとめて出版したい。また本年度は、2012年3月より東京国立博物館で行われる「ボストン美術館日本美術の至宝」展のための作品調査も行い、実際にボストン美術館に通いながら本研究課題である屏風絵を中心に作品の精緻な調査を進めるなかで、その成果を『ボストン美術館日本美術の至宝』展のカタログにおける解説のなかにまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の在外研究滞在期間の短縮に伴い、今年度の調査はシカゴおよびボストン、ニューヨークに絞ったが、作品調査についてはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、在外研究を終えるまでの間に、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ワシントンD.C.のブリアーギャラリー、サンフランシスコのアジア美術館において調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)