Research Abstract |
本研究では,日用品を利用した高齢者向けヘルスケアシステムの提案を行っている.本年度は主に,「HappinessCounter:日常生活における笑顔形成促進による感情状態向上の支援」という,新しいヘルスケアシステムの提案・実装を行い,国際学会等で積極的に発表を行った.以下に詳しく説明する. 1.研究背景:高齢化など様々な要因で,独居生活を選択あるいは余儀なくされている人は少なくない.孤独な生活により感情状態が悪化し,うつ病や心の病にかかるなど深刻な問題である.一方,心理学者ウィリアム・ジェイムズの言説で,「人は幸福であるが故に笑うのではなく,笑うが故に幸福である」という考え方がある.これは笑顔形成が感情状態を向上させる可能性を示唆している. 2.研究方法:そこで本研究では,日常生活のなかで積極的に笑顔をつくることを促進し,感情状態の向上を支援するシステム「HappinessCounter」を提案した.笑顔促進のために,ユーザが日常的に行う作業時に笑顔形成を促し,フィードバックを与えたり,ソーシャルネットワークサービスなどと連携させることで,より積極的に笑顔形成を支援し,感情状態の向上を目指す.具体的には,笑顔を検出すると笑顔を検出すると,スマイルアイコンと音によるフィードバックを与える鏡や,笑わないとスムーズに開かない冷蔵庫(ユーザが笑顔を形成してない場合は,電子錠で冷蔵庫のドアを制御し,ロックをかける)などを試作した,さらに試作したシステムを実際の日常生活で利用してもらい評価実験を行った.その結果,本システムが笑顔促進に効果的に働き,また本システムが会話のきっかけになり,家族間のコミュニケーションに影響がある事例があった. 3.研究成果:この研究内容は,有力な国際学会ACM Ubicomp2011のFull Paperとして(査読有:採択率16.6%)採択され,発表を行った.また有力な国際学会ACM CHI2011ではalt.chiセッションに採択され(査読有),口頭発表を行った.さらに国内学会WISS2011でも発表を行い(査読有),情報処理学会の論文誌に推薦論文として掲載予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は生活の様々な場面で本システムが利用できるように,笑顔認識技術を用いて,モバイル端末等で本システムを使用できるように改良を進めていきたい.また様々なアプリケーションと連携させ,日常生活の中で積極的に笑顔形成を促すとともに,医療機関等と連携を図り,一人暮らしのお年寄りや自閉症の方への有効性を検証していく予定である.
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