2011 Fiscal Year Annual Research Report
拡張ナノ空間における単一細胞分析のための流体インターフェースの開発と応用
Project/Area Number |
11J09195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 健太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 拡張ナノ空間 / 単一細胞 / 単一分子 / パターニング / ELISA |
Research Abstract |
本研究は、拡張ナノ空間を利用した新しい単一細胞・単一分子分析システムを創成することを目的とする。当研究室で研究を進めている拡張ナノ空間は大きさが10~1000nm、体積はfL~aLであり、単一細胞体積よりも小さな空間体積をもつため、単一細胞内のタンパク質等のような、極微量生体試料の分析に応用できる。今年度は細胞の前処理操作を行うインターフェースを開発(計画では一年目を予定)し、数pLの液滴を利用した前処理操作を集積化したほか、拡張ナノ空間を利用した免疫分析の集積化に必要な生体分子パターニング法の構築(計画では二年目を予定)を行った。酵素標識分子を用いた免疫分析では免疫反応体を固相化する必要があるが、拡張ナノチャネル作製においては石英基板を1000度以上に加熱して熱融着するため、高温による生体分子の破壊が問題となっており、ナノ流路表面の特定の部分のみに生体分子を固定化することが課題となっていた。今回、熱融着を用いず、低温で基板を接合する技術を利用し、ナノ流路表面に生体分子を固定化する方法を構築した。結果として、固定化生体分子にDNA分子を用い、そのパターニング幅を50~300mmの範囲で制御することに成功した。パターニングされたDNA分子は塩基配列選択制および二重鎖形成能を保持していること、また、二重鎖形成および変性のサイクルを繰り返すことができることを確認した。本研究により、拡張ナノチャネル表面において、生体分子の選択的相互作用を利用した分析対象の分子捕捉の位置と大きさを制御することが可能になった。本手法を利用し、拡張ナノ空間を利用した免疫分析や、単一細胞内のタンパク質の定量分析に展開できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実用のための課題を残しているものの、一年目に予定していた単一細胞の前処理操作の集積化に成功した。また、単一細胞分析デバイスの開発に必要な課題の一つである、拡張ナノ空間表面における生体分子のパターニング法を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度確立した生体分子パターニング手法を用いて、拡張ナノ空間における免疫分析(Enzyme Linked Immunosorbent Assay:ELISA)を集積化する。原理検証、検量線作製および実試料への適用を行い、極微量分析手法として利用できることを実証する。その後、単一細胞由来の試料に応用する。
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