2011 Fiscal Year Annual Research Report
力覚提示による3Dモデルの位置と形状情報の教示に関する研究
Project/Area Number |
11J09218
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
家室 証 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 触力覚 / ハプティックインタフェース / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
研究目的である触れる3Dモデルの作成と体験のためのシステム構築に向け,本年度は主に以下の3項目について重点的に研究を行った. 1.力覚及び視覚の協調による触感提示 触れる3Dモデルの再現においてより豊かな触感の表現を行うことを目的として,モデル形状の視覚的な変形による弾性感の再現を試みた.視覚的な効果によりヒトの触知覚に変化が生じる現象をPseudo-Hapticsと呼ぶ.本研究ではPseudo-Hapticsを能動的に利用することにより,多様な柔らかさのバーチャル物体の再現を行った行次に,現実世界に存在する物体からバネ係数としてコンプライアンスを取得し,それをリアルタイムにバーチャル物体に反映させるという触感のコピー&ペースト機能の実現を試みた.この情報をシミュレータ側で利用し,前述の弾性感提示に用いることにより,身の回りのあらゆるものの触感のコピー&ペーストという最終的なシステム要素の効果について確認を行った. 2.触れる3Dモデルのデータ構造の検討 最終的な作成・体験システムにおいて扱う触れる3Dモデルのデータ構造に関して検討を行った.触力覚フィードバックに利用するためのモデル構造であることから,ヒトの知覚メカニズムに基づくデータ構造として,力覚フィードバックのための力覚レイヤと皮膚感覚フィードバックのための皮膚感覚レイヤという複数のレイヤからなる構成を考案した.力覚レイヤは形状,硬さ分布,摩擦分布を表す3つのレイヤから構成され,物理シミュレーションによる力覚レンダリングに利用される.皮膚感覚レイヤは実物体から得た複数の振動パターンの分布を表すレイヤであり,モデル表面に対するなぞり速度に応じて振動の再生速度を変化させることにより皮膚感覚の提示を行う. 3.触感テクスチャのコピー&ペーストシステムの実現 実世界の物体からの触醸テクスチャの取得と3Dモデル上への塗布という触感コピー&ペーストを実現するシステムの構築を行った.マイクを内蔵した触感スキャナにより実物体をなぞった際の音声情報を取得し,それをなぞり速度に応じて再生することにより,3Dモデルとの触覚インタラクションにおいてリアルなテクスチャ感の再現を可能にした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的な目標である触覚モデリングシステムの実現に向けて,独自の「触覚情報の取得とモデルへの塗布」という要素について様々な形での実装と検証を行った.また,その結果を踏まえて最終的なさわれる3Dモデルのモデル構造の設計を完了した.以上から,来年度のシステム完成に向けて必要となる要素を順調に実現したと言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえて,設計したモデル構造の実装を行う.提案する構造がヒトの触知覚メカニズムに基づいていることから,実装を行った段階で構造の有効性を心理物理実験に基づいて評価し,必要であれば新たな設計を行った上で,さわれる3Dモデル構造を完成させる.続いてモデルの編集システムの構築を行う.これまでに実現した形状レイヤの生成に加えて,各物性レイヤと皮膚感覚レイヤの編集UIを完成させ,年内の国際学会における展示発表を行う.
|
Research Products
(6 results)