2011 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的アウェアネスの持続と抑制を変調する選択的注意の心理物理・認知神経科学的解明
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11J09238
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Research Fellow |
柴田 理瑛 東北福祉大学, 健康科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚的アウェアネス / 選択的注意 / 眼球運動 |
Research Abstract |
本年度は、視覚的アウェアネスの状態変化と選択的注意の割り当てについて、運動する図形に明るく顕著な視覚対象(ターゲット)が重ねて画面に呈示されると、やがてターゲットが消失して見えてしまう錯視現象(運動誘発盲)を用いた心理物理実験を行った。具体的には1試行あたり1分程度の運動誘発盲刺激呈示事態において、ターゲットを画面中央の凝視点から視角4度離れた計8ヵ所(0,45,90,135,180,225,270,315度)のうち1ヵ所にランダムに呈示した。実験参加者にはターゲットが画面より消失したらキーを押し、再出現したらキーを離すことを求めた。合わせて、運動誘発盲刺激を注視している間の眼球運動を計測した。 ターゲットが消失した時刻及び再び出現して見えた時刻を中心とした前後1.6sの区間で、眼球運動の生起頻度を解析した。その結果、ターゲットの再出現前後に眼球運動の生起頻度が増加することが分かった。特にターゲットが再び出現した後における眼球運動の生起頻度は、ターゲットを画面中央よりも上側の視野(半径視角4度の円周上45°~135°の範囲)に呈示した場合よりも、下側の視野(半径視角4度の円周上225°~315°)に呈示した場合において持続して高い傾向があった。運動誘発盲における眼球運動の生起頻度はターゲットに対する視覚的注意の割り当てを反映している可能性が高いことから(Hsieh&Tse,2009)、この結果は視覚的注意をターゲットに対して持続して割り当てられる時間が上下視野で異なることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。上記のとおり運動誘発盲錯視中のターゲットの消失及び再出現時の眼球運動を測定した。その結果ターゲットの再出現時における眼球運動には上下視野差があることを見出しつつある。このような上下視野における眼球運動の差異には選択的注意の関与が示唆され、選択的注意とアウェアネスの関係を定量的に測定する上で眼球運動は有用な指標となることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、運動誘発盲刺激呈示事態においてターゲットを複数呈示し、外発的もしくは内発的に選択的注意をターゲットに捕捉するような状況において、各ターゲットの消失持続時間と眼球運動の計測を行う。このような心理物理実験により選択的注意とアウェアネスの関係を定量的に測定することを試みる。
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Research Products
(4 results)