2013 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的アウェアネスの持続と抑制を変調する選択的注意の心理物理・認知神経科学的解明
Project/Area Number |
11J09238
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Research Fellow |
柴田 理瑛 東北福祉大学, 健康科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | マイクロサッカード / 注意 / 統合失調型パーソナリティ / プレパルス抑制 |
Research Abstract |
本年度はマイクロサッカードと視覚的注意の関係について、画面中央の注視点から画面周辺部のターゲットへ急速な眼球運動(サッカード)を行わせる課題を用いた検討を行った。具体的には、ターゲットの呈示直前に画面中央の注視点が消失する条件と、ターゲット呈示後も注視点が呈示されたままである条件を設けた。被験者の課題は画面周辺部にターゲットが呈示されたらできるだけ速く正確にターゲットの呈示位置にサッカードすることであった。サッカード潜時およびマイクロサッカードの生起頻度を計測した結果、両条件においてサッカードが生じる前にマイクロサッカードの生起頻度が減衰することが示された。また、注視点が呈示されたままの条件よりも事前に注視点が消失する条件において、100msほど速く減衰のピークに達することが示されつつある。このようなマイクロサッカードの減衰は、ターゲットへのサッカードに先行して注視点への注意が解放されることを反映している可能性がある。 さらに、統合失調症の素因性指標として考えられているプレパルス抑制を用いた検討を行った。プレパルス抑制とは、瞬き(驚愕反射)を誘発する大きな音刺激(バースト音)の呈示直前に、より小さな音刺激を先行して呈示すると瞬きが抑制されるという現象であるが、先行刺激として被験者自身がキー押しすることによっても瞬きが抑制されることを新たに明らかにした。また、統合失調症患者ではプレパルス抑制は減衰することが報告されているが、被験者のキー押しを先行刺激とした場合でもプレパルス抑制が減衰することが見出されつつある。このような傾向は統合失調型パーソナリティ保持者でも見られ、統合失調症の早期発見に有用な指標となりうるかを明らかにすべく、今後はより詳細な検討を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。サッカード課題時の眼球運動研究では、マイクロサッカードの生起頻度の変化が得られつつある。このようなマイクロサッカードの生起頻度変化には選択的注意の関与が示唆され、選択的注意とアウェアネスの関係を定量的に測定する上でマイクロサッカードは有用な指標となることが期待される。また、プレパルス抑制に関する研究では、キー押しのような自己刺激によってもプレパルス抑制が生じることを見出し、統合失調型パーソナリティが高い群ではプレパルス抑制が減衰する傾向を見出しつつある。この結果は、統合失調症の早期発見に有用な指標となる可能性を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)