2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗てんかん薬胎生期暴露による神経幹細胞制御異常と成体マウス行動異常の関連解析
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11J09295
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
ジュリアンディ ベリー 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経幹細胞 / ヒストン脱アセチル化酵素 / バルプロ酸 / 大脳発生 / 成体脳神経細胞新生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)バルプロ酸によるヒストン脱アセチル化酵素阻害が胎生期神経幹細胞に与える影響の解明、(2)胎生期から成体期の長期に渡る同阻害影響の解明、(3)同阻害影響を回復・最小化する方策の確立の3点である。これら目的を達成する為、申請者は、神経産生が顕著な時期において妊娠マウスにバルプロ酸を経口投与した。その結果、バルプロ酸投与により胎児の脳におけるヒストンアセチル化が増加した。また、バルプロ酸のアナログであるバルプロミド投与では、ヒストンアセチル化の増加は認められなかった。さらに、胎児における神経産生はバルプロ酸投与により亢進した。これは、成体海馬由来培養神経幹細胞において、神経細胞新生がヒストン脱アセチル化作用により引き起こされる事を示した過去の報告と整合性がある。また、この神経細胞新生の様式の大部分は、中間前駆細胞の形成が関与する神経幹細胞からの非直接的な神経細胞産生経路を介し、浅層神経細胞層厚の増加と深層神経細胞層厚の減少が観察された。さらに申請者は、マウス胚性幹細胞由来神経幹細胞を用いた浅層および深層神経細胞産生の評価モデルを確立し、in vitroにおいても同様に浅層神経細胞の産生量増加と深層神経細胞産生量の減少を確認した。加えて、胎児期のヒストン脱アセチル化酵素阻害により、海馬歯状回における成体脳神経細胞新生および神経細胞形態は異常を示し、胎児期バルプロ醸投与マウスにおける、後の記憶学習能力の低下の原因の一部だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者は、バルプロ酸投与マウスは、学習や記憶能力の低下を示す事を明らかにした。興味深いことに、この学習および記憶能力の低下は、自発運動を促すことで顕著に改善された。この結果は我々の予想を超えるものであり、これらの知見は、バルプロ酸を用いたてんかん治療により引き起こされる同様の機能障害の回復手段確立の一助となる事を期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
バルプロ酸投与により神経細胞産生が亢進し、浅層および深層神経細胞層厚に変化が生じる事が示された。申請者は、引き続きこれらの表現型を引き起こす分子機構の解明に着手する。また、自発運動によるバルプロ酸投与マウスの学習および記憶能力の回復機構の解明を行う。その為に、発生各段階および自発運動後におけるgene chip解析を行い、候補遺伝子のスクリーニングを行う。その後、候補遺伝子の発現を定量RT-PCRにより評価し、候補遺伝子の制御機構を解明するべく、該当遺伝子に関してクロマチン沈降やノックダウン、ノックアウト、過剰発現実験を行う。
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Research Products
(4 results)