2011 Fiscal Year Annual Research Report
シンセティックバイオロジーにおける生命デザインのための最適コドン解析
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11J09332
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
玉木 聡志 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝暗号表 / 翻訳スピード / tRNA / 原核生物 / codon co-occurrence / tRNA pairing index / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
酵母を代表とした真確生物において、一度コーディング領域上にアミノ酸が出現した際、次に出現する同種のアミノ酸は先のアミノ酸の同義コドンによってコードされやすい傾向が知られている。この傾向はcodon co-occurrenceと呼ばれ、この傾向が強い遺伝子ほど、翻訳のスピードが早いことが明らかとなっている。この事実は翻訳のプロセスにおいてt-RNAがリサイクルされている可能性を強く示唆している現象となっている。しかしながら、未だこの現象をバクテリアにおいて網羅的に確認した研究は報告されていない。 今年度は情報学的な手法を用い、UniProtKB Complete Proteome Sets及びtRNADB-CEの2つのデータベース双方に登録されているバクテリア696種を対象とし、網羅的なcodon co-occurrenceの傾向解析を行った。結果、ほぼ全ての種(645/696)のバクテリアにおいてcodon co-occurrenceを観察することに成功した。バクテリアにおいてこの傾向は報告のないことであり、原核生物におけるコドン選択・進化について新たな知見を得ることに成功した。また本結果は、バクテリアの翻訳プロセスにおいてもtRNAのリサイクルが行われている可能性を示している。 今後、今回の結果を拡張し、codon co-occurrenceが顕著に観測できる生物種及び遺伝子群に注目し、遺伝子の翻訳スピードに関する数理モデルを構築することによって、合成生物学における遺伝子発現調節に貢献できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に書かれた今年度分の計画はすべて消化し、現段階では期待された結果を得ることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた696種の全遺伝子データより、コドンの再利用性が顕著に観測できる種とそうでない種について分類を行う。コドンの再利用性が進化的にどのように保存されてきたかを検証し、Gene Ontologyを用いた網羅的な解析により、コドンの再利用性が高い遺伝子群についても考察を行う。大腸菌におけるタンパク質定量データとmRNA発現量データを用いたバクテリアのコドン再利用における翻訳効率数理のモデル化を行い、バクテリアにおける翻訳時のtRNAリサイクルモデルの可能性について議論を行う。
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Research Products
(2 results)