2011 Fiscal Year Annual Research Report
室温ナノインプリントの転写メカニズム解明とその応用に関する研究
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11J09390
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Research Institution | University of Hyogo |
Research Fellow |
姜 有志 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所・物質理学研究科・物質化学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 室温ナノインプリント / 水素シルセスキオキサン / 溶媒 / 転写性 / ヤング率 / インデンター / 電子顕微鏡 / マニピュレーター |
Research Abstract |
1.高沸点溶媒含有HSQを用いた室温ナノインプリントの転写性の向上 これまでにポリジメチルシロキサン(PDMS)モールドと水素ジルセスキオキサン(HSQ)を用いた液滴法による室温ナノインプリントを報告した。この方法は溶媒を含んだ粘度が低い状態のHSQにモールドを押し付け、液相HSQの溶媒をPDMSモールドのナノポーラス内を通して蒸発させることにより、低圧での室温インプリントを可能とした。しかし、HSQを滴下により製膜するため作製パターンに膜厚むらが現れてしまう。一方、膜厚を均一にするためHSQをスピンコートにより成膜した場合、スピンコート時に溶媒が蒸発し粘度が高くなってしまうため、インプリント時に高圧が必要となってしまう。そこで私はこれらの問題を解決するため、従来の溶媒プロピレングリコールジメチルエーテル(PGDM,沸点96℃)より沸点が高い溶媒トリプロピレンギリコールジメチルエーテル(MTPOM,沸点215℃)を用いることで、溶媒蒸発速度の遅延および膜均一化に成功した。 2.HSQ転写ピラー構造のヤング率の評価 ナノインプリント技術とはプレス加工によってナノオーダーレベルの樹脂転写構造体を作製する技術であるが、これまで、ナノインプリント樹脂のヤング率の測定には、ナノインデンターを用いて薄膜やバルク体のヤング率を測定するのみで微細転写構造の機械的特性を評価することは非常に困難であった。そこで私は、電子顕微鏡(SEM)の中にマニピュレーターを組み込み、高精度で測定できるシステムを開発した。結果としては、HSQ薄膜のヤング率が6.9GPaに対し、直径が400mmのHSQ転写ピラー構造体のヤング率は4.6GPaとなった。HSQ転写ピラー構造体の値はインデンター法によって測定された値に比べ、低い値となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はHSQを用いた室温ナノインプリントの転写性向上までを目指していたが、HSQに高沸点有機溶媒を用いることにより転写性の向上に成功したため、転写後のパターン評価装置の作製および評価まで行えた。また転写構造体のヤング率を評価した際に薄膜と転写構造体とで違いが現れている。来年度は薄膜と転写構造体の物性の違いについても詳しく評価を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、薄膜と転写ピラー構造体とでヤング率に違いが現れている。そこで転写ピラーの密度を測定することにより、転写ピラーと薄膜の物性の違いについて解明する。また今までの研究では転写材料としてはラダー型HSQの評価を主に行ってきたが、HSQの初期構造はケージ型や有機含有HSQなど異なるモノマー分子構造については評価を行っていない。そこで初期モノマー構造がインプリント後のポリマーHSQに与える影響について明らかにする。評価方法としては昨年度の研究で新しく作製したヤング率測定装置や現在作製中の密度測定装置を用いて測定を行う。また、HSQパターンに焼成処理やイオンプラズマ処理を行うことによって、違いが現れるかを解明する。
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Research Products
(16 results)