2013 Fiscal Year Annual Research Report
DNAアプタマーと合成ポリマーの融合による特異的分子認識材料の開発
Project/Area Number |
11J09545
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 勇貴 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子認識ゲート膜 / DNA / 凝集現象 / 荷電 / 自由度 / アプタマー / N-イソプロピルアクリルアミド / センサー |
Research Abstract |
本研究は、多様な標的分子を特異的に検出する新規なセンサー材料を目指し、新規な分子認識ゲート膜の開発を行う。当ゲート膜は、レセプターとしてDNAを、アクチュエーターとして感温性ポリマー(ポリN-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)を持ち、標的分子の認識により多孔質膜の細孔の開閉を行う。今年度は、まず、2本鎖DNA末端にミスマッチの配列を持つリニア2本鎖DNA結合PNIPAMは高温域で凝集が抑制された状態が続くことを観察した。これはDNAの末端の自由度が高いためにエントロピー反発で凝集が抑制されている。このことから、DNAの自由度がPNIPAMの凝集を制御することが示された。次に、DNA結合PNIPAMの凝集挙動へのインターカレーターの影響を調査した。その結果、DNAへのインターカレーターの結合により高温域でDNA結合PNIP川は急激に凝集した。また荷電が弱くDNAとの結合親和性の低いインターカレーターでは、より高温でPNIPAMは激しく凝集した。これはDNA結合PNIPAMの凝集現象がインターカレーターにより荷電支配の現象から自由度支配の別の現象に切り替わったことを示す。次に、DNA固定化分子認識ゲート膜において、DNAが1本鎖の場合と2本鎖の場合で膜の水透過性を評価した。その結果、1本鎖DNA膜に比べ2本鎖DNA膜では細孔が開かず透過性が小さかった。これは2本鎖DNAの形成でDNAの荷電が増加し静電反発によりグラフトポリマーの収縮が抑制されたためと考えられ、膜の系でもDNAの荷電状態の違いでポリマーの形態が変化し、膜の透過性を制御可能であることが示された。次に、タンパク質であるトロンビンに特異的に結合するDNAアプタマーを持つ2本鎖DNA膜において、トロンビンの添加により膜の透過性が上昇したことを観察した。これはDNAアプタマーがトロンビンを認識すると同時に2本鎖DNAが解離し、DNAの荷電が減少したためである。以上のように、特異的標的分子の存在で細孔の開閉を行う、DNAをレセプターとした分子認識ゲート膜の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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