2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率統計的アプローチに基づく旋律モデルを用いた音楽情報処理の研究
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11J09662
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深山 覚 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 音楽情報処理 / コンテンツ自動生成技術 / 確率統計モデル / 自動作曲 |
Research Abstract |
確率的旋律モデルの精緻化と音楽情報処理における有効性検証の研究を行った(1)。また確率的旋律モデルを用いたコンテンツ生成支援インターフェイスを、ヒューマンコンピュータインタラクションの観点から研究した(2)。これらの検証のため、歌詞を入力として歌唱曲を自動生成するシステムOrpheusをWebアプリケーションとして運用を行った。結果、27,276曲の自動生成楽曲とともに、世の中でコンテンツ生成技術が広く使われうるという手応えを得た。(1)について、旋律生成の確率モデルのデータベースからの確率パラメタ学習と、生成可能な旋律のバリエーションを増大させるための精緻化を行った。前者については、Emmanuel Vincent氏との共同研究によって行われた。多くの条件変数を持つ条件付き確率分布を対数線形補間によって求める手法を提案し、現在その検証中である。後者については、旋律生成のための新機能として、音域変動、移調、歌声の声道長パラメタの調整、より複雑な伴奏設計、アウフタクトの持つメロディ、前奏・閻奏・後奏などを可能とするよう、パラメタの追加・およびアルゴリズムの改良を行った。改良されたアルゴリズムは自動作曲システムOrpheusとして実装され、27,276曲がユーザによって生成された。(2)について、(1)の成果により増加した作曲パラメタをシステムユーザが簡便に調整し自動作曲が行えるように、生成支援インターフェイスをwebを通じた使用を想定して設計した。いくつかの試作の結果、パラメタ選択に応じて使われるテンプレートの編集機能がよりユーザの意図を反映した楽曲生成のために必要であるという仮説に達し、ユーザが作曲のためのテンプレートを自由に改変、あるいはテンプレートを投稿できるインターフェイスを開発した。この設計の有効性について、webを通じた大規模実験を通じて検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的としていた確率統計的アプローチによる旋律モデルの精緻化について、確率パラメタの取得という基礎的な側面と、実際の楽曲生成に必要な機能という実際的な側面の双方について検討することができた。また音楽情報処理への適用例として、自動作曲のwebシステムの運用を通じてその有効性を確かめる実験を開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
web上での大規模実験を通じて、これまで提案してきた手法やインターフェイス設計の自動作曲という音楽情報処理タスクでの有効性を検証していく必要がある。また旋律の自動作曲以外の音楽情報処理タスクである、自動和声付け・コード進行の自動生成といった課題においても有効性を検証していきたい。
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Research Products
(8 results)