2011 Fiscal Year Annual Research Report
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11J09712
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
篠木 涼 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚文化論 / 心理学史 / 映画理論 / 応用心理学 / 表象 / 映像 / ヒューゴー・ミュンスターバーグ / ウィリアム・マーストン |
Research Abstract |
【具体的内容】 本研究の目的は、アメリカにおける初期の応用心理学の諸分野と社会的な実践や制度との関係性について視覚的経験を中心に考察することである。 一年目である本年度は、初期の応用心理学のなかから、司法心理学について研究を行った。具体的には、アメリカにおける初期の司法心理学の代表であるヒューゴー・ミュンスターバーグと、「ウソ発見」の理論を作り出したウィリアム・マーストンを主題とした。年間を通し、彼ら二人の文献を含む心理学関連文献、また知覚や情動、記憶など心理学的主題やメディアと身体の関係を扱ったものを中心に視覚文化論の関連文献を集中的に購入して検討を行い、九月にはアメリカ・ボストン公共図書館のヒューゴー・ミュンスターバーグ・ライブラリーを訪れ、書簡をはじめとするミュンスターバーグ関連の貴重資料の調査を行った。 【意義】 心理学者でない研究者を含んだ多様な観点からの心理学史の再検討が二〇世紀後半から進められつつあるが、ミュンスターバーグ、マーストンによるアメリカの司法心理学的研究についての研究は十分行われておらず、また彼らがそれぞれ行っていた美学や映画についての研究との関連は研究されていなかった。本研究の意義は、目撃証言や「ウソ発見」を含む初期の司法心理学のなかで現れてきた視覚的経験を視覚文化論の文脈に付け加えたところにある。 【重要性】 本研究の重要性は、従来の研究によって蓄積されてきた芸術文化を中心にした近代の視覚的経験をめぐる議論を、司法心理学が扱う犯罪捜査や裁判という社会制度や実践と結びつけるところにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一年目として行った資料収集と調査を踏まえた研究成果の一部を発表しており、これに基づく成果を第二年目にも発表する予定であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の推進方策】 平成23年度と同様文献及び貴重資料を収集調査しつつ検討する。 【研究を遂行する上での問題点】 これまでの研究成果から、アメリカにおける応用心理学の勃興と同時期に現れた行動主義心理学についてより詳細な検討を行う必要があることが明らかになってきた。 【対応策】 J.B.ワトソンを中心に古典的行動主義をめぐる研究に着手する。
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Research Products
(3 results)