2011 Fiscal Year Annual Research Report
宮廷儀礼参列者の分析に基づく日本古代国家による蝦夷統制過程の研究
Project/Area Number |
11J09757
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河原 梓水 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蝦夷 / 俘囚 / 叙位 / 宮廷儀礼 |
Research Abstract |
本研究は、古代日本における蝦夷を主たる研究対象としながら、国家の支配構造と統治理念を問い直すことで、新たな古代国家論・王権論を提起することを目指すものである。本年度においては、まず、前年度から検討を進めていた蝦夷と位階の関わりについての研究を論文として取りまとめ、「蝦夷・俘囚への叙位-蝦夷爵制の再検討を中心に-」と題して学会誌『日本史研究』に発表した。本論文は、近年全く検討されていなかった蝦夷爵制を再検討することで、蝦夷・俘囚における叙位制度を根本的に見直したもので、位階制度史のみならず、古代東北地方の官制研究や身分論の進展に寄与するものである。 そして、昨年度立命館史学会大会において口頭報告した研究を、さらに補強し「六国史における『村』の特質-いわゆる『蝦夷村』の再検討を中心に-」と題して日本史研究会古代史部会にて口頭報告した。 さらに、次の研究課題である「移配蝦夷・俘囚の節会参列」について論文に取りまとめ、「九世紀における蝦夷の宮廷儀礼参加とその意義」と題して学会誌『立命館文学』に発表した。本論文は、従来蝦夷の朝貢と同義に捉えられてきた九世紀における蝦夷の節会参加を実態的に捉え直し、その意義を再検討したもので、従来の研究を大きく乗り越えるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は学術雑誌に論文2本を公表することができ、おおむね当初の計画通りに研究を進展させることができた。学会報告や史料調査も精力的に行い、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本年度と同様、1本以上の学術雑誌への論文の投稿、国際学会での研究報告等を予定している。史料調査や現地調査も行いながら、研究計画に基づき進めていく予定である。これらの成果を本年度中に博士論文としてとりまとめ、学位取得を目指す計画である。
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Research Products
(4 results)