2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳発生において神経系前駆細胞が分化運命転換のタイミングを決めるメカニズムの解明
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11J10035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
壷井 將史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリコーム群遺伝子 / Ezh1 / 神経系前駆細胞 |
Research Abstract |
in vivoにおいて神経系前駆細胞特異的にEzh1の機能を阻害するために、Cre-loxPシステムによるEzh1の条件的ノックアウトマウスの作製を行った。さらに、発生時期依存的にEzh1の遺伝子をノックアウトするためにNestin-CreERT2マウスとの交配も行い、神経系前駆細胞特異的かつ発生時期依存的にEzh1遺伝子をノックアウト出来るマウスを得た。 また、神経系前駆細胞がニューロン産生を終了するメカニズムについて検討した。アストロサイト産生期においてPcGがニューロン分化関連遺伝子群を抑制することが明らかになっていたが、PcGがどのようにしてニューロン分化関連遺伝子群を抑制するかは分かっていなかった。PcGのターゲット遺伝子とPcG構成因子の一つであるRing1Bによって触媒されるヒストンH2AK119ユビキチン化修飾量には正の相関が見られる事から、PcGはヒストンH2AK119ユビキチン化修飾を介してターゲット遺伝子の抑制を行うと考えられてきた。しかし、一方で、PcGはヒストンH2AK119ユビキチン化修飾非依存的にHox遺伝子群の抑制を引き起こすことも示唆されており、PcGによるターゲット遺伝子の発現抑制におけるヒストンH2AK119ユビキチン化修飾の必要性は議論の余地が残されている。そこで、PcGによるニューロン分化関連遺伝子群の抑制に、ヒストンH2AK119ユビキチン化修飾が必要かを検討した。その結果、PcGによるニューロン分化関連遺伝子群の発現抑制に、Ring1BのヒストンH2AK119ユビキチン化修飾触媒活性は必要ない事を示唆する結果を得た。今回見出した、cluster化していない発生関連遺伝子群においてRing1BのヒストンH2AK119ユビキチン化修飾触媒活性が必要ではないという知見は、これまで報告されていない全く新しい知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Cre-loxPシステムによるEzh1の条件的ノックアウトマウスの作製が計画通り終了し、さらに、(計画外の)神経系前駆細胞特異的かつ発生時期依存的にEzh1遺伝子を破壊出来るマウスの作製まで終了した。また、PcGによるニューロン分化関連遺伝子の抑制にはRing1BのヒストンH2AK119ユビキチン化修飾触媒活性が必要ではないという新しい知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究によって、神経系前駆細胞特異的かつ発生時期依存的にEzh1遺伝子をノックアウト出来るマウスを得ている。今後、このマウスを用い、神経系前駆細胞特異的、また発生時期特異的にEzh1をノックアウトし、アストロサイト産生期においてもニューロン産生が継続するか、また、Ezh1の発現量の上昇が各層ニューロンの分化運命転換のタイミングを決めるかを検討する予定である。また、Ezh2ノックアウトマウスの解析結果と比較し、神経系前駆細胞においてEzh1とEzh2にどのような機能分担が為されているかについての検討も行う。
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Research Products
(4 results)