2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物材料の欠陥の定量的理解による材料開発指針への展開
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11J10050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
及川 格 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロトン伝導体 / ペロブスカイト酸化物 / 核磁気共鳴 / 局所構造 |
Research Abstract |
今年度は、800℃程度の高温において雰囲気を制御しながら核磁気共鳴(NMR)測定を行えるようにするため、測定用のプローブにガスを流すことができるように改良を行った。NMRプローブは先端部分に信号の検出を行うコイルがあり、コイル内に試料をセットして測定を行うため、試料部分にガスが流れるようにプローブ内部に配管を通した。実際に測定を行う超伝導マグネットにプローブを設置し、800℃まで温度が上がることを確認した。また、材料中の酸素空孔やプロトンといった欠陥をこれまでとは異なる角度から理解することを目指してラマン分光測定とBa-137NMR測定を行った。ラマン分光測定結果から添加元素、酸素空孔及びプロトンが関係した振動モードの帰属を行い、試料の組成や熱処理条件によるラマンスペクトルの変化を観測することができた。Ba-137 NMR測定結果では、酸素空孔やプロトン性欠陥の形成により信号が観測される位置が変化することが示唆され、バリウム原子周囲の局所環境から欠陥を解析することが可能であると考えられた。これまでに得られている結果からイオン周囲の局所環境と酸素空孔やプロトンといった欠陥の安定性に着目して、伝導種としてのプロトンを材料中により多く含むような材料の開発を目指しており、今年度の成果から原子や格子の振動モードの変化など異なる視点から材料の局所環境に関する情報を得ることができ、今後伝導度などの物性値と局所構造の関係を明らかにする上で重要な指針となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高温NMR用プローブの改良が当初の研究計画よりも遅れたため
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで明らかになっている欠陥構造をもとに局所環境とプロトン伝導度の関係を明らかにし、イオン周囲の局所構造を制御することにより伝導度の向上を目指して研究を進めていく予定である。
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