2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温環境下におけるコンクリートの物性変化に着目した原子力発電所の耐久性予測
Project/Area Number |
11J10116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五十嵐 豪 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セメントペースト / 体積変化 / 水分移動 / BET比表面積 / 水蒸気吸着等温線 / 水分伝導率 / ヤング率 / 相組成 |
Research Abstract |
高温環境下におかれたセメントペースト,骨材(砂利)の体積変化を測定するとともに,セメントペースト,コンクリートの強度を取得し,それぞれの体積変化から生じる界面損傷からコンクリートの強度低下をモデル化することを行うために,今年度は,セメントペーストの体積変化予測,および水分移動予測について研究を行い,以下の成果が得られた。 1)セメントペーストの体積変化に寄与するBET比表面積について,セメントの水和反応と関連付けられることを示した。このことから,セメントの水和反応を予測することにより,BET比表面積の変化を予測する道筋が得られた。 2)セメントペーストの体積変化および水分移動に寄与する水蒸気吸着等温線について,セメントペーストのBET比表面積と飽水時の含水率から予測できるモデルを提案した。 3)セメントペーストの水分伝導率について,セメントペーストのBET比表面積と飽水時の含水率およびそのときの含水率を関数とする化学ポテンシャルを駆動力とした汎用的な実験式を導き,セメントペースト中の水分移動モデルを提案した。 4)コンクリート中の粗骨材の体積変化を予測することを目的として,各種粗骨材の各相対湿度における含水率およびひずみを取得し,考察を行った。 5)コンクリート中において粗骨材によって体積変化を拘束されたときのセメントペーストの応力およびひずみを予測することを目的として,各相対湿度におけるセメントペーストのヤング率を取得し,セメントペーストの相組成と関連づけられることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,セメントペーストの体積変化予測および水分移動予測について研究を行い,セメントの水和反応速度モデルから,体積変化および水分移動を予測できる手法を構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
・高温環境下におかれたセメントペースト,骨材(砂利)の体積変化を測定するとともに,セメントペースト,コンクリートの強度を取得し,それぞれの体積変化から生じる界面損傷からコンクリートの強度低下をモデル化する。 ・原子炉の定常状態におけるコンクリートの表面温度制限値である65℃環境下におけるセメントペーストからの水分逸散実験を行い,熱力学パラメータに基づいた水分移動モデルを構築する。 ・上記モデルを連成させて,任意のセメント,コンクリート調合,環境条件を入力とした大断面部材内部に生じる強度分布のシミュレーションツールの構築を行う。
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Research Products
(17 results)