2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨免疫疾患における樹状細胞受容体Dcirの機能解明
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11J10121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
丸橋 拓海 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 疾患モデル動物 / C型レクチン / サイトカイン |
Research Abstract |
DCiRは樹状細胞の分化、増殖を負に制御しているC型レクチン受容体であり、DCIR欠損マウスは加齢とともに腱付着部における炎症と異所的石灰化による後肢足根関節の強直を自然発症する。この強直の発症はDCIR/RAG2-二重欠損マウスにおいて完全に抑制されたことから、強直の発症に免疫系が関与していることが示唆された。前年度までに、DCIR欠損マウスが自然発症する病態がヒト強直性脊椎炎(AS)の病態と非常によく似ていることを明らかにした。そこで、DCIR欠損マウスを疾患モデル動物として解析することで、病態形成に関与する細胞やサイトカインを同定し、ヒトASの新規治療法開発の一助となることを目指した。 免疫学的な解析の結果、IFN-γ産生性T細胞がDCIR欠損マウスのリンパ節および関節局所で顕著に増加していることを見出した。さらに、DCIR欠損マウスから単離した樹状細胞は、MHC class IIや共刺激分子の発現が亢進しており、T細胞からの異常なIFN-γ産生を誘導することを明らかにした。このIFN-γがAS様の病態形成に重要であるかどうかを検討するために、DCIRと各種炎症性サイトカイン(IFN-γ、TNF-α、IL-1、IL-17)との二重欠損マウスを作製した。その結果、IL-17の欠損では強直は抑制されなかったが、TNF-α、IL-1、そしてIFN-γを欠損させたDCIR欠損マウスは強直を発症しなかった。以上のことから、DCIR欠損マウスにおける病態形成には、TNF-α、IL-1、IFN-γが重要な役割を果たしていることが示された。加えて、IFN-γがin vitro培養系において、軟骨細胞の増殖、分化を促進する作用を持つことを見出したことから、IFN-γは炎症を惹起するだけでなく、軟骨新生を誘導することによって、腱付着部炎および強直といったAS様の病態の両方に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)