2011 Fiscal Year Annual Research Report
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11J10136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 雄太 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2) (80779934)
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Keywords | 日本 / 中世史 / 足利氏 / 御一家 / 吉良氏 / 石橋氏 / 渋川氏 / 斯波氏 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中世後期の武家社会において足利氏(京都将軍家・関東公方家とその御連枝)に次ぐ「権威」を有したにも関わらず、従来ほとんど検討されることのなかった足利氏御一家(吉良氏・石橋氏・渋川氏の三氏。以下、御一家と表記)について、徹底した調査・分析を行なうことにあった。2011年度はその第一年度目であった。そこで得られた成果は以下の通りである。 第一に、戦国史研究会(2011年5月14日)において「足利氏御一家考」として口頭発表したものを、同題論文として投稿したものが、佐藤博信編『関東足利氏と東国社会』(岩田書院、2012年3月)の中の一本として収められた。そこでは(1)御一家を構成する人々の確定、地位の確認といった基礎的考察を行い、(2)特定の人々が御一家として選ばれた理由を中世前期にまで遡及して検討し、(3)御一家成立の時期と背景、及び、御一家の果たした独自の役割についての検証を行った。これは御一家研究の「総論」にあたるものである。 第二に、御一家研究の「各論」にあたるものとして、吉良氏に関する研究を、複数本、論文としてまとめた(投稿したものも含む)。 第三に、同じく御一家研究の「各論」にあたるものとして、石橋氏に関する研究を、静岡県地域史研究会(2011年12月10日)において「都鄙における御一家石橋氏の動向-室町期を中心に-」として口頭発表した。そこでは(1)歴代当主の系譜関係の確定、(2)「都」(京都)における人のつながりの復元、(3)「鄙」(地方)における所領関係の復元を行った。これも、複数本、論文としてまとめた(投稿したものも含む)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
足利氏御一家関係の先行研究・史料を相当程度収集し終え、論文についても複数本執筆する(投稿中を含む)など、総じて当初の予定通りのペースで2011年度を終えられたといえるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度に引き続き、2012年度も予定通りのペースで淡々と物事を仕上げていく。とりわけ、収集したデータの分析及び論文の執筆に力点を置く予定である。気になる点をいえば、奥州(東北地方)における現地調査であるが、これは同地域が大震災からどの程度復興・安定したかに大きく左右・規定されるため、現地の状況に留意しつつ、丁寧に情報を集めていくことにしたいと考えている。
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Research Products
(3 results)